プラスチックごみからバニラアイス? イタリアのアーティストが問題提起

田中友梨

──ギルティフレーバーズを食べられる日はくるのですか。

ギルティフレーバーズのプロジェクトは、作品を制作したところで私の役割は完了しました。もちろん、プラスチックから生成したバニリンを法的に食べられるようにしたり、アイスクリーム以外の食品ともコラボレーションして製品化を目指したりといった次のアクションは考えられますが、それはアーティストである私の役割ではありません。

──オルトラーニさんは今後、どのようなテーマで作品づくりをされるのでしょうか。

私はギルティフレーバーズ以前から、身体の構造や消化システムに興味がありました。例えば「加工食品が増えているものの、人間の身体にアジャストしていないのではないか。身体と環境のギャップが生まれてしまっているのではないか」といったトピックに興味があります。今後もこうした文脈で作品をつくっていきたいです。

今具体的に進めているプロジェクトは2つあり、そのうちのひとつが紹介できます。バルセロナで公開予定のショートムービーで、スコットランド、イタリア、北海道で撮影を行っています。テーマは“産地認証“。気候変動の影響で土地の性質がどんどん変化しているなかで、「これは北海道産のホタテです」などと胸を張って言えるのか、という問題提起をしています。

産地認証は商品の価値や利益を保障するものですが、例えば北海道産のホタテをラボで完全に再現できるようになったときに、そのホタテは北海道産なのでしょうか。地域の特産物は、環境や土地に依存しているものも多いので、とても重要な論点だと考えています。

今後のことをお話していて思いましたが、やっぱり私は、いちアーティストなので解決策を提供できるわけではない。「食」という万人にとって身近テーマに対して、新たな疑問を投げかけるような存在になりたいですね。

文=田中友梨

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