宇宙

2024.03.22 15:30

人類の火星移住にはその「営利企業化」も不可欠、提唱者の新著

安井克至

火星の時代へのロードマップ

専門家でなくても理解できるように工夫して書かれたズブリンのこの本は、しばしばこの種の学術書を読みにくくする専門用語や略語が使われていない。それでいて1章1章が、地球外入植と植民地化に関する大学の優れた講義のシラバスとしてすぐに利用できるほど詳細な内容になっている。

ズブリンは火星入植と植民地化に関して、食料、水、居住施設から文化的・社会的な問題に至るまでのあらゆる側面を網羅し、芸術、スポーツ、観光のまったく新しい側面が開ける可能性などにも言及している。



残念ながら、今の世代や次の世代で、このようなことが実現するのを目の当たりにできるかどうかはまだ疑わしい。

NASAは依然として、火星への最初の有人ミッションを打ち上げる確定的な日程を提示していない。NASAのサイトでは、2年間におよぶ火星有人ミッションを成功させるために必要な6つの技術の開発に取り組んでいるという事実を強調しているだけだ。この結果として、ズブリンが夢見ている民間資金を利用した火星への到達が、これまで考えられていたより広く世間に受け入れられる可能性がある。

ズブリンのように火星への入植を長年提唱している人々が、人類の定住には火星の営利企業化が不可欠と考える理由の1つがここにある。その裏づけは、人類が初めて火星の表面に足を踏み入れてから数十年以内に得られるだろう。それまでには、ズブリンの構想が実を結ぶか、それとも壮大でロマンあふれる発想のままで終わるのかがはっきりするに違いない。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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