経営・戦略

2024.03.30 14:15

「世界のアニメファンは10億人に」 クランチロール首脳陣が語る、日本アニメへの期待

(左から)クランチロールのギータ・レバプラガダCOO、プレジデントのラウール・プリニ、末平アサCCO


現在の注力エリアは、アメリカ、カナダといった北米エリアのほか、中南米であればメキシコやブラジル、欧州であればフランス、ドイツ、イギリスだ。さらに新しいマーケットとして、インドや東南アジアにも大きな可能性を感じている。
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同社がインドに本格的に進出したのは2022年。現地の通貨で支払いができたり、エリア特性を反映したコンテンツを配信したりと地域に合わせてつくり込んでいる。吹き替え版も地域に合わせて多数用意し、例えばインドでは、ヒンディー語、タミル語、テルグ語と3つの言語で視聴できる。

「広く使われているデバイスや料金体系、言語、権利の問題など、地域によって様々な条件やハードルがあります。でも、現地に素晴らしいチームがいるので、そのチームが一つひとつクリアしてくれています」(プリニ)

なお、エリア拡大の障壁になるのが、違法アップロード問題だ。地域によっては、いまだに違法アップロードでアニメを視聴する習慣が残っており、それらの視聴者を正規コンテンツに誘導し、その価値に気づいてもらう必要がある。
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「実際のところ、どの国にも違法アップロードのサイトはあり、なかなかなくなりません。ですので、我々ができることは“クランチロールのサイトで見た方が良い”と思えるような体験を提供することに尽きると思っています。違法サイトよりも手軽に視聴できるように、そしてクオリティの高いアニメをできるだけ安価で提供できるように努めています」(プリニ)

こうしたグローバル戦略のなかでの“手軽さ“の追求が、昨秋のAmazonとの契約にもつながった。

なぜアニメファンが増えているのか

では、なぜ日本のアニメが世界中で支持されているのだろうか。CCOの末平アサは、米国内の風向きの変化を次のように語る。

「友人や仲間と、好きなスポーツ選手やハリウッドスター、ミュージシャンやポップアーティストについて話すのと同様に、好きなアニメについてオープンに話すようになっています。(以前までアニメといえば“オタク”だったが)アニメについて話すことはもはや恥ずかしいことではなくなっています。アニメファンであることはクールなことなんです」

こうした変化は、アメリカ以外にも広がっている。テレビでの放送に加えて、動画配信サービスという視聴の選択肢が増えたことで、世界中でアニメファンが増えているのだ。日本で2回目の開催となった今年のクランチロール・アニメアワードの授賞式にも、カナダ、イギリス、オーストラリア、インドなど様々なバックグラウンドを持つゲストが参加した。
「クランチロールアニメアワード 2024」の授賞式でプレゼンターを務めたインドの女優、ラシュミカ・マンダナ 提供/クランチロール
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文=田中友梨 写真=小田光二

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