グローバルでは、実際にどんなアニメが好まれているのか。COOのギータ・レバプラガダによると、おおよそは日本でヒットしたアニメがグローバルにも広がる傾向があるという。今年のクランチロール・アニメアワードの受賞作品を見ても、「呪術廻戦 懐玉・玉折」がアニメ・オブ・ザ・イヤー、「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」が最優秀アニメーション賞に選ばれるなど、日本でも人気のあるコンテンツが並んだ。
とはいえ、国や地域ごとにカルチャーの違いはある。200以上の国と地域でサービスを展開するクランチロールのビッグデータでは、エリアごとに好まれやすいジャンルもわかってきている。
「エリアごとの特性としては、例えばサッカーがテーマの『ブルーロック』はサッカーファンの多い国で人気があります。あとはインドが特徴的で、アクションアドベンチャーやラブコメが好まれていますね」(末平)
グローバル全体で共通してよく見られているのが、アクション、SF、ダークファンタジー。反対に、“学園もの”や“アイドルもの”の作品は日本のカルチャーを色濃く反映した作品が多く理解されにくいという。
その点、アイドルを扱ったアニメ「【推しの子】」のヒットは異例のことだった。同作はクランチロールでの扱いがなく同社はデータを持っていないが、主題歌「アイドル」(YOASOBI)が、米ビルボード・グローバル・チャート1位を獲得する快挙を成し遂げたことも含めて、アニメファンにとって大きなインパクトを残した作品になったことは間違いない。
「クランチロール・アニメアワード 2024」の授賞式で「アイドル」のパフォーマンスを行ったYOASOBI。クランチロールでは、YOASOBIのミュージックビデオやコンサートを配信している 提供/クランチロール
クランチロールでは、こうした地域ごとの特性を踏まえながらも、あらゆるジャンルの作品を幅広く扱っている。特に、Amazonが手掛けるリニアTV(配信側が組んだスケジュールに従って、広告付きで番組が配信されるサービス)では、バランスの良いキュレーションを心がけているという。
「視聴者にはいろんなコンテンツを見ていただきたいので、たとえ“異世界もの”が人気だったとしても、そればっかりに偏らないように番組を組み立てています」(末平)