製品

2024.03.22

世界一を再び 朝倉未来出資のシャンプーブランド、リピート率驚異の90%

大手企業が巨額の広告費を投下するシャンプービジネス。スモールスタートのスタートアップが同業界に入り込む余地は極めて困難だ。今回は創業から1年半、販売開始から約1年と発足したばかりでありながらも、グローバルに急成長を遂げているTHE RICHの代表取締役、三浦裕太氏と、同社に出資、さらに取締役に就任した朝倉未来氏に成長の秘訣を独占取材した。

朝倉氏と株式会社THE RICHとの出会い

もともと面識のなかった彼らの出会いは意外なところにあった。2022年に三浦氏がInstagramのダイレクトメッセージで朝倉氏に連絡をしたことがきっかけにTHE RICHの製品のプレゼンをし、その流れで出資することが決まったという。

朝倉氏のInstagramには彼の投資の実績から連日多くの連絡が集まるというが、三浦氏が出資を勝ち取った背景には、三浦氏の情熱と製品の高い品質がある。基本的には実績のある人の経営する企業に対して投資していると語った朝倉氏は、連絡が来た当初は何度か断ったのだという。しかし、三浦氏は「断られてからが勝負」という気持ちで熱心に説得し続けたそうだ。許可を得られない中で三浦氏は従来のシャンプー&トリートメントと大きく異なる製造や品質のこだわりの詰まった自社製品を朝倉氏に送ったところ、それを実際に使用して違いを体感することができたため3000万のエンジェル出資を決断したそうだ。

シルクザリッチ誕生理由は地元の一次産業を救うため

シルクの製造世界一を支えた、製糸工場に勤務する女性陣(岡谷蚕糸博物館より)

シルクの製造世界一を支えた、製糸工場に勤務する女性陣(岡谷蚕糸博物館より)

株式会社THE RICH創業者の三浦氏は長野県出身で、そのことが彼のビジネスに大きく関わっていると語った。長野県には当時世界最大の製糸業で栄えた片倉財閥がある。同社の拠点となる岡谷市は、全盛期の昭和5年当時、親に楽な生活をさせてあげたいと日本全国から女性が集まり、当時岡谷の人口76500人の約半数34500人が製糸工場に勤務する女性であったとされる。

長野県で生まれ育った三浦氏にとって製糸業は馴染みの深い分野だったという。昭和初期には日本の輸出の約4割をシルクが占めていた時代もあるが、現在ではシルク産業は衰退している。この点を問題視した三浦氏はシャンプー&トリートメントの美容成分にシルクを入れて、グローバルにもう一度シルクの需要を高めようと立ち上がったのだ。

なぜシャンプー&トリートメントだったのか。それは、彼の戦略である。三浦氏はシルクの良さについて日本を含め世界に周知させるには、できるだけ市場の大きな場所で勝負しなくてはいけないと考えていた。つまり、世界中の人々が日常的に使うものである必要があったのだ。

シルクザリッチの原料となるシルク

シルクザリッチの原料となるシルク

次ページ > シルクの加工技術で特許取得、シルクザリッチの魅力とは

取材=戸村光 文章=村瀬萌果

ForbesBrandVoice

人気記事