電子チケット導入で大きな効果 東山動植物園の入園待ち時間が半分に

プレスリリースより

東京の恩賜上野動物園に次いで入園者数が多い名古屋の東山動植物園では、チケット売場に長い行列ができる。それを解消しようと昨年10月から12月にかけて電子チケットの実証実験を行ったところ、待ち時間を6割短縮することができた。

愛知県名古屋市営の名古屋市東山動植物園は、多いときで入園者数が1日3万人にのぼる人気スポットだが、混雑時には紙の入園チケットを買うために15分ほど列に並ばなければならない。そこで名古屋市は、先進技術社会実証支援事業「Hatch Technology NAGOYA」の課題提示型支援事業として、電子チケットサービスを使ったチケットレス入場の実証実験を行った。

使用したのは、レジャー施設の予約サービス「アソビュー!」の「ウラカタシリーズ」という電子チケットサービス。実験期間中に電子チケットを利用した人は4万2345人。平均して全体の20パーセント、最大で32パーセントだった。それにより、通常は約1万4000人が来園した日の券売待ち時間が15分であるのに対して、実験期間中は6分となり、約60パーセントの短縮を実現できた。

ウラカタシリーズは発券だけでなく、売り上げ管理、販売集計、顧客情報のデータ収集や分析も可能になる。東山動植物園はこれを使って満足度アンケートを実施。約1300件の回答を分析したところ、園の課題を把握できた。満足度が高いのは施設全体、スタッフの接客、電子チケット、知人への推奨度。逆に低かったのは、混雑、飲食、価格の妥当性だった。だが、価格の妥当性は体験価値に対して安すぎるという園えの心配の声だったので、これは嬉しい評価と言えるだろう。

東山動植物園はこれを参考に、電子チケットの導入と券種の拡大、時間指定による入場制限、価格変動制の導入と有料サービスの追加、飲食スペースのオペレーション改善、設備の改善など、改善施策を立案し実施に移した。ウラカタシリーズは、よみうりランド、沖縄美ら海水族館、国立科学博物館など全国のレジャー施設や文化施設にも導入されている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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