ダイナミックプライシングは広く普及しているが、内実には謎めいた部分も残っている。サウスウエスト航空、デルタ航空、アメリカン航空、ジェットブルー航空は本記事の取材に応じなかった。だが幸い、インターネットのおかげで実態はずいぶん明らかになっている。ちょっと検索すれば、便別・航空会社別の運賃がはっきりわかるからだ。
それでも旅行好きたちは、航空運賃が最も安い時期や購入・予約に最適な時期について絶えず予想を立て、節約しようとしている。
ダイナミックプライシングは、消費者保護に関する法律を守っている限り、法的には何ら問題のない行為だ。以下では、ダイナミックプライシングについて知っておくべき点を説明しよう。
ダイナミックプライシングとは何か
ダイナミックプライシングは需要の増減に応じて製品やサービスの価格を変動させる仕組みで、さまざまな業界で導入されている。ダイナミックプライシングとサージプライシング
サージプライシングは、ダイナミックプライシングの一種で、需要の多い時期・時間帯に価格を引き上げる仕組みだ。有名な例として配車サービスのUber(ウーバー)が挙げられる。ダイナミックプライシングを導入している業界
ダイナミックプライシングは、旅行業界のあちこちで導入されている。ディズニー・ワールドをはじめとするテーマパークでは、時季や休日に合わせて入場料が変わり、あまり混雑しない時期には料金が下がる。ホテルも、ピークシーズン以外の時期には宿泊料を安く設定することが多い。繁忙期以外にも旅行客を呼び寄せるため、レストランやスパで使用できるクーポンなどの特典を用意するホテルもある。
米ハンバーガーチェーン店のウェンディーズは、2025年からダイナミックプライシング(サージプライシング)を試験導入すると発表した。レストランの多くはすでにランチタイムや早朝に同一商品を低価格で提供し、利用客の少ない時間帯の来店を誘うサービスを導入している。
美容業界にも平日限定メニューがあり、ネイルサロンが割引価格で施術を提供したり美容院がカットやカラーにブローを無料サービスしたりしている。これもまたダイナミックプライシングの一例だ。