2024.01.17

快適よりも安全、旅客機で最も「生存率が高い座席」

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航空機は自動車など他の移動手段に比べるとかなり安全だが、万が一の時には、どの座席が安全なのか、どうすれば安全を確保できるのか、と思っているなら、答えは明快だ。緊急事態がどのようなものなのかにもよるが、通常、機体の後方中央部の座席が比較的安全という研究結果が出ている。

空の旅は安全か?

航空安全ネットワーク(ASN)のデータベースに記録されたすべての航空事故が示すとおり、2023年は過去2番目に航空事故が少ない年だった。同データベースによると、3500万回のフライトのうち、重大な事案が1213件、事故が134件、死亡事故が5件あり、105人が亡くなった。航空格付けサイトのエアライン・レーティング・ドットコム(airineratings.com)が指摘しているように、過去5年間を平均すると事故は年に13件発生しており、犠牲者は300人だ。

2001年以降に行われた調査では、飛行機は例えば自動車などよりも安全な移動形態として常に上位に入っている。米紙ワシントンポストの調査によると、自動車の旅客輸送距離10億マイル(約16億km)当たりの死者は7.28人で、これは一般的な交通手段の中で飛び抜けて多い。次いでフェリー(3.17人)、電車(0.43人)、地下鉄(0.24人)、バス(0.11人)、飛行機(0.07人)となっている。似たような他の研究でも、民間航空機での移動は最も安全な長距離移動のひとつという同様の結論が得られている。

また、各交通手段の安全性は国によっても異なる。鉄道の安全性は1970年代に比べるとかなり向上しているが、ある調査によると、例えば米国の旅客鉄道アムトラックで負傷する確率は、フランスの鉄道の58倍にもなる。

同様に、利用する航空会社によっても安全性は異なる。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の2020年の研究では、かなりの地域差があることが明らかになった。研究によると、最もリスクの低い航空会社は米国や欧州連合(EU)諸国、中国、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエルを拠点とする航空会社だった。「過去数十年で、死亡事故の発生率は飛行機に対する人々の恐怖心よりも急速に減少している」と、この研究では指摘している。

もし飛行機に乗るのが怖いのであれば、エアライン・レーティング・ドットコムが毎年発表している「世界で最も安全な航空会社ランキング」で常に上位に入っている航空会社を選べば、恐怖心が和らぐかもしれない。ランキングのトップ25の差がかなり小さいことは注目に値するが、2024年の1位はニュージーランド航空で、次いでカンタス航空、ヴァージン・オーストラリア航空、エティハド航空、カタール航空となっている。格安航空会社の安全ランキングのトップ5は、ジェットスター、イージージェット、ライアンエアー、ウィズエアー、ノルウェー・エアシャトルの順だ。

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翻訳=溝口慈子

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