データによると犬の乳腺腫瘍は発生頻度が高く、雌犬のがんの76%を占めている。そして、発生率は犬集団における不妊手術率が上がるにつれて低下することが明らかになっているのだ。
現時点では、ロットワイラーの寿命に影響の出ない不妊去勢手術の最適年齢があるかどうかはわかっていない。しかし今回の研究では、遺伝的素因や栄養、運動、健康管理、環境要因など、あらゆる犬の寿命を左右し得る要因もいくつか指摘されている。
こうした要因については、改善できる余地がある。遺伝性疾患のスクリーニング検査を行ない、健康な繁殖ペアを選ぶようにすれば、遺伝性疾患の有病率を下げ、寿命を延ばせるかもしれない。
また、言うまでもないが、犬の寿命を短くする何よりも明らかな要因は体重増加だ。
「寿命の低下は、不妊去勢手術そのものより体重の問題と関係している疑いが強い」とジューン博士は話している。「したがって飼い主には、愛犬に不妊去勢手術を受けさせたうえで健康的な体重を維持するよう勧める」
外科的な不妊去勢は、犬や猫の計画外妊娠を予防する方法として確立している。ペットの過剰繁殖は、政府や非政府組織の動物福祉の取り組みに大きな負担を強いている。ペットを放し飼いにして好き勝手させれば、公衆安全衛生にも自然生態系にもリスクが及ぶ。
今回の研究結果は、どのくらい広範囲に当てはまるのだろうか。不妊去勢手術を施した犬はみな、寿命が短くなるのか、それともロットワイラーに限った話なのだろうか。ジューン博士は今後、グレーハウンドやゴールデンレトリバーといった他の人気犬種にも分析対象を拡大して、同じ知見が得られるかを確認する計画だ。
出典:Carolynne J. Joonè & Dmitry A. Konovalov (2023). The effect of neuter status on longevity in the Rottweiler dog, Scientific Reports 13:17845 | doi:10.1038/s41598-023-45128-w
(forbes.com 原文)