ナワリヌイの広報を担当するキラ・ヤルムイシュは、モスクワのマリイノ地区にある正教会で現地時間3月1日午後2時(日本時間同日午後8時)からナワリヌイの葬儀を行うと発表した。葬儀の後、遺体はボリソフスコエ墓地に埋葬される。ヤルムイシュは、支持者や参列者に早めに到着するよう助言した。側近らは葬儀を執り行う場所を探すのに苦労していた。
ナワリヌイは野党指導者として、ロシア政府や国内の支配層、ウラジーミル・プーチン大統領の腐敗を激しく批判する運動を展開していた。ナワリヌイは猛毒の神経剤による毒殺未遂事件で一命を取り留めたが、ロシアに帰国した直後に投獄され、多くの人々に衝撃を与えた。
ナワリヌイは今月16日、人里離れた北極圏の刑務所で服役中に47歳で死亡した。ロシアで最も過酷と言われる北極圏の刑務所でのナワリヌイの死を巡っては、世界中で非難の声が上がり、プーチン大統領が反体制派であるナワリヌイの殺害を命じたのではないかという疑惑を呼んだ。ナワリヌイが囚人交換の一環として釈放される直前だったとの報道で疑惑はさらに深まった。プーチン大統領がナワリヌイの釈放を容認したくなかったからではないかとの憶測が広まったからだ。ロシア当局は、ナワリヌイの死を巡る不正行為の疑惑や囚人交換の直前だった可能性を否定。死因は自然死だったと主張している。
母親のリュドミラ・ナワリナヤは、ロシア当局から息子の遺体との面会を拒否され「秘密」の埋葬に同意するよう圧力をかけられたと訴えた。また、死亡診断書には自然死と記載されていたという。
妻のユリヤ・ナワリナヤがモスクワでの葬儀と埋葬に参列するかどうかは明らかになっていない。国外から運動を指揮することはできないと主張していたナワリヌイとは異なり、ユリヤは夫に対する毒殺未遂事件後にロシアを脱出し、現在もドイツに亡命中だと伝えられている。
ユリヤはロシア政府が夫を殺害し、死因を隠蔽(いんぺい)したとして政府を公然と非難。プーチン政権に対抗し、自由なロシアのために闘った夫の運動を続けると誓った。亡き夫の遺志を引き継いだユリヤが帰国すれば、ロシア政府から報復の標的にされる可能性がある。
ユリヤは、夫の死の責任はプーチン大統領にあると訴え、ロシア政府に対する新たな制裁を科すよう欧州の首脳に働き掛けている。
(forbes.com 原文)