ヘルスケア

2024.03.04 15:00

新型コロナワクチンは稀に疾患を引き起すが「感染のほうがはるかに有害」、研究結果

Getty Images

新型コロナワクチンの目的は、重篤な感染症の予防だ。モデルナファイザー・ビオンテックアストラゼネカ製のワクチンは、重症化や入院、死亡を予防する効果があることが研究で示されている。一方、新型コロナ感染後に神経症状が発生する確率は、新型コロナワクチン接種後に比べて最大617倍に上っており、これは「ワクチン接種の利益が、リスクを大幅に上回る」ことを示唆していると、今回の研究著者らは述べている。
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米エール大学の岩崎明子教授(免疫生物学)によると、心筋炎の発症リスクも、ワクチン接種後より新型コロナ感染後の方が高い。新型コロナワクチン2回目接種後の心筋炎発症リスクは10万人あたり35.9人であるのに対し、新型コロナ感染後のリスクは同64.9人となっている。また、2023年に学術誌『Neurology』に発表された研究によると、新型コロナ感染後のギラン・バレー症候群の発症リスクは対照群の6倍であるのに対し、ワクチン接種後の発症リスクは同0.41倍だった。

現在、ほとんどの米国人が、少なくとも1回は新型コロナワクチンの接種を受けているが、コロナの新たな変異株に対応するブースター(追加)接種の接種率は伸びていない。

現在、急速に感染拡大している変異株「JN.1」は、2023年秋から冬にかけて感染者を増加させている。新型コロナ、インフルエンザ、RSウイルス(RSV)のトリプル流行は、2022年秋冬にも問題になったが、現在それが再来したかたちだ。JN.1系統は、2月17日までの2週間に確認された新型コロナ全症例の96.4%を占めている。
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それでも、新型コロナの感染件数(0.6%減)と死亡者数(6.9%減)は減少傾向にあり(ただし入院数は0.8%増)、トリプル流行は収束の兆しがみられる。

JN.1は、2023年12月にWHOによって「注目すべき変異株」に分類された。これは、その感染拡大が「世界の公衆衛生に新たなリスク」をもたらし得ることを意味する。

JN.1は、高度に変異した(過去に報告されたBA.2系統からスパイクタンパク質に30以上のアミノ酸変異を有する)「BA.2.86」系統の亜系統であるため、一部の専門家は「XBB系統」の変異株に標的を絞った1価ワクチンのブースターでは防御できないとの懸念を示していた。これに対してワクチンメーカー各社は、1価ワクチンでも一定の予防効果はあるとしている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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