ゴールドマン・サックスによれば、全世界における水素エネルギーの市場規模は1200億ドル(約18兆円)以上というが、その大部分は天然ガス由来の、CO2を排出する「グレーな水素」だ。CO2を出さないグリーン水素の難点は、コストがはるかに高いことにある。
そんな中、大規模な太陽光発電のコストを引き下げることに成功した起業家のラフィ・ガラベディアンとデビッド・イーグルシャムの2人は、再生可能エネルギーを用いて、この状況を変えようとしている。彼らが2021年に立ち上げたElectric Hydrogen(エレクトリック・ハイドロジェン)は、数年以内の黒字化を目指しており、さらに重要なこととして、アンモニアや合成窒素肥料、石油製品、製鉄などの業界が大量に使用するグレーな水素をグリーン水素に置き換えようとしている。彼らは、水素を使用するプラントの側に、再生可能エネルギーを用いて水素を製造する巨大な施設を建設する計画だ。
「当社の目標は、グリーン水素を用いて産業界の脱炭素化をもたらすことだ」とエレクトリック社のCEOのガラベディアンはフォーブスに語った。「そのためには、安価な水素を発生させる電解槽と安価な再生可能エネルギーが必要になる」と彼は述べている。
さらに、大量の水素を製造することも不可欠だ。そこで、CTOのイーグルシャムは、1日に最大45トンのグリーン水素を製造するための、低コストの電解槽を備えたシステムを設計した。同社は、最終的にはグレーな水素と同じコストの、1キログラムあたりわずか1.5ドルでグリーン水素を製造しようとしている。