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2024.03.01 13:00

CO2削減の切り札、安価な「グリーン水素」提供を目指すElectric Hydrogen

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気象パターンを歪めている二酸化炭素(CO2)排出を削減するためのソリューションの中で、水と電気だけで作られる「グリーン水素」ほど有望なエネルギー源は存在しない。しかし、現状では水素の大部分は、天然ガスを水蒸気と反応させることで製造されており、その過程でCO2を放出している。

ゴールドマン・サックスによれば、全世界における水素エネルギーの市場規模は1200億ドル(約18兆円)以上というが、その大部分は天然ガス由来の、CO2を排出する「グレーな水素」だ。CO2を出さないグリーン水素の難点は、コストがはるかに高いことにある。

そんな中、大規模な太陽光発電のコストを引き下げることに成功した起業家のラフィ・ガラベディアンとデビッド・イーグルシャムの2人は、再生可能エネルギーを用いて、この状況を変えようとしている。彼らが2021年に立ち上げたElectric Hydrogen(エレクトリック・ハイドロジェン)は、数年以内の黒字化を目指しており、さらに重要なこととして、アンモニアや合成窒素肥料、石油製品、製鉄などの業界が大量に使用するグレーな水素をグリーン水素に置き換えようとしている。彼らは、水素を使用するプラントの側に、再生可能エネルギーを用いて水素を製造する巨大な施設を建設する計画だ。

「当社の目標は、グリーン水素を用いて産業界の脱炭素化をもたらすことだ」とエレクトリック社のCEOのガラベディアンはフォーブスに語った。「そのためには、安価な水素を発生させる電解槽と安価な再生可能エネルギーが必要になる」と彼は述べている。

さらに、大量の水素を製造することも不可欠だ。そこで、CTOのイーグルシャムは、1日に最大45トンのグリーン水素を製造するための、低コストの電解槽を備えたシステムを設計した。同社は、最終的にはグレーな水素と同じコストの、1キログラムあたりわずか1.5ドルでグリーン水素を製造しようとしている。

ビル・ゲイツらが900億円を出資

マサチューセッツ州ネイティックを拠点とする同社は、3年前に設立されて以来、ビル・ゲイツのブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズ(BEV)や、アマゾン、ハネウェルなどの投資家から6億ドル(約900億円)以上を調達した。(イーグルシャムは、BEVに起業家として所属していたときに、エレクトリック社のアイデアを着想した)。同社は、カリフォルニア州サンノゼに10メガワットの施設を持ち、1日に最大4.5トンの水素を生産しているが、これは、米国の1人の自動車のドライバーが10年間に使用するガソリンのエネルギー量に相当する。エレクトリック社は、今年の後半にこの10倍の規模の最初の商用システムを始動させようとしている。
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編集=上田裕資

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