米国最大のグリーン水素施設
エレクトリック社の最初の顧客は、液化天然ガス(LNG)大手のニュー・フォートレス・エナジー(NFE)で、同社は今年後半からテキサス州ボーモントでエレクトリック社の技術を使う計画だ。NFEは、そこで製造したグリーン水素をオランダのアンモニア製造大手OCIグローバルに販売する。この工場は、100メガワットの電力を用いて1日45トンの水素を製造可能で、オープン時には米国最大のグリーン水素施設となる可能性が高い。一方、現状で米国最大のグリーン水素システムは、プラグパワーが最近開設したジョージア州の施設で、主に原子力発電所からの電力で、1日に15トンのグリーン水素を製造することができる。「米国で今後の2年間、このような規模の施設は他には現れないと思います」と、プラグパワーのアンディ・マーシュCEOはフォーブスに語った。
エレクトリック社のガラベディアンは、来年までに彼らの3倍の水素をテキサス州の施設で製造できるようにして、マーシュCEOの考えが間違っていることを証明するつもりだ。彼はまた、シーメンスやティッセンクルップなどの欧州のコングロマリットの技術を使った同規模のプラントの建設コストが1億5000万ドルであるのに対し、エレクトリック社の建設コストが約半分になると予想している。
この計算で行くと、エレクトリック社の100メガワットのシステムのコストは約7500万ドルで、中国製の効率の悪い電解槽を使って1日45トンの水素を発生させるシステムの約8500万ドルよりも安いことになる。
エレクトリック社は、最初のプラントで化石燃料由来のものと同程度に安価な水素を製造できるとは考えていないが、2030年までにそれを実現する計画だ。「だからこそ今後の数年間は、政府の税額控除が助けになる」とガラベディアンは話す。しかし、太陽光発電の業界と同様に、いずれなくなるクレジットに過度に依存していては、企業は生き残れない。
「ソーラー電力の価格は、この20年間下がり続けてきた」とガラベディアンはいう。「私の目標は、政府のクレジットを無意味なものにすることだ。議員たちが45Vクレジットについて、あれは有効な施策だったがもうやる必要はないと言い出すところまで、できるだけ早く持っていきたい」と彼は語った。
(forbes.com 原文)