経済・社会

2024.02.26 19:30

春節で京都に次ぐ人気を集めた岐阜県の海外インバウンド戦略とは?

アジア系の外国人観光客で賑わう岐阜の白川郷

海外インバウンドで大切なこと

もちろんそれには、各国の旅行事業者、また県内の市町村や民間事業者など、さまざまな人たちの協力があってのことであるのは言うまでもない。
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12カ国、16の旅行博に出展できるなんて、岐阜県は観光予算が多いのですね、と他県の関係者からは時々いわれるが、実はそんなことはなく、少ない予算のなかで、いかに効果的に、官民一体となって「想いを形にするか」につとめた成果なのだ。

最近では岐阜県だけでなく、他の地域や自治体でも海外インバウンドに力を入れるようになってきた。例えば、私がツーリズムプロデューサーをつとめている兵庫県では、2025年の大阪・関西万博を目途に、地域課題解決型の「ひょうごフィールドパビリオン」という万博のテーマとも合致したツーリズム体験を観光にも活かす事業を実施している。

同様に、万博本丸の大阪を中心とした関西エリアの自治体や観光事業者も、さまざまな取り組みを進めている。
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例えば、自家用ジェットなどで来訪する海外の超富裕層と呼ばれる層をターゲットとした1泊100万円以上の宿泊滞在をめざしたラグジュアリー・ツーリズムの推進や、長期滞在をする欧米豪の観光客の傾向を活かしての県域を超える瀬戸内海や四国エリアまでもつなぐ広域連携でのツーリズム・デスティネーションづくりを進める施策なども行われている。

そんな動きのなかでも、私自身が岐阜県の海外インバウンドで最も大切にしてきたのは、継続することだ。そしてプロモーションする相手国との関係を、丁寧に紡ぐこと。そんな地道でアナログ的な活動に加え、マーケティングデータをしっかりと分析し活用する「観光DX」という、いわば空中戦のようなデジタル的活動とを両輪でまわしてきたことが良い循環を生んでいるのだと思っている。

いっときの成果に踊らされず、長く、継続して本物を創り、発信し、交流する、サステナブルな観光への取り組みに、終わりはないのだ。

文=古田菜穂子 写真提供=岐阜県

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