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2024.02.26 14:15

政治にイノベーションを 官民共創ではじまる、新しい政策実現のあり方

「つなげる30人」が政策に影響を与えるまで

ここで話を私のライフワークである「つなげる30人」に移し、この取り組みが思ってもみない形で政策に影響を与えた事例を通じ、感じた可能性について述べていきたい。

そもそも「つなげる30人」は、地域内の企業・行政・NPOによる多様性あふれるメンバー同士のフラットな関係性(「地域の同級生」とも呼んでいる)をベースにしたコミュニティを形成し、これまで行政に頼り切りだった地域課題の解決を、公的予算負担をせず、民間の力を活用し、街を良くしていくための事業創造を持続的に行っていくことを大きなコンセプトにしていた。

よって、このプログラムにおける理想の行政のスタンスは、「お金を出す(予算をつける)」のではなく、「後援・協力などを通じて公式に応援」をすることで信用付けをすることであった。

このうち、「渋谷をつなげる30人」の取り組みから広がった「落書き対策プロジェクト」は当初民間からスタートしたが、結果的に草の根活動からボトムアップで渋谷区に影響を与え、事業化された。このように、よりパワフルにプロジェクトが推進される例も出てきたことは想定外であった。

この事例を通じ、どのようにすれば「つなげる30人」から生まれた取り組みが行政の政策形成に貢献できるのかについて問題意識を持っていた。

地域政党の実験

そんな中、東京都内を中心的に活動し、小池百合子東京都知事を特別顧問とする地域政党「都民ファーストの会」(以下、都ファ)から「政治塾」の運営の相談を頂いた。過去に当政党が実施したワークショップにてファシリテーターを請け負った事がある経緯からお声がけされたのだ。
2019年開催「都民ファーストの会未来会議」の様子(モザイク加工あり)

2019年開催「都民ファーストの会未来会議」の様子(モザイク加工あり)

私は他党が開催する「政治塾」に関して知識をほぼ持たないため、あくまで伝聞だが、一般的に政党が政治塾を開催する目的は、選挙の立候補者募集がメインであり、内容も講義中心の一方通行型が多くを占めるようだ。

関心深かったのは、都ファが目指しているのはそんな従来の政治塾ではなく、議員と民間人が共創して政策を立案し、都議会で提案することで実現を目指している点であった。

当初は「本当にそんなアイデアが短期間で出てくるのか」と不安は大きかったが、上記のような「政策形成プロセスの民主化と多様化」に問題意識を持っていた私としても大きな挑戦と感じお引き受けさせていただく事となった。
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文=加生健太朗

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