台湾のヘルスケア市場に世界のスタートアップが熱視線

秀傳医療グループをはじめ、台湾ではヘルスケア市場が熱い。

長寿化・高齢化が進む日本において、人々の健康意識も高まりを見せている。それとともに医療産業の益々の発展が求められ、その一手を担う医療系スタートアップにはイノベーションの期待もかけられている。

しかし、プロトタイプの製造に伴う高いコストや、病院側の慎重な姿勢からくる新技術の受け入れの難しさなど、医療系スタートアップが開発や市場展開する上での課題も多い。日本の強みでもある堅実な医療システムは、一方で、新しいアイデアや製品の受け入れ、共同研究に進む上での大きなハードルにもなっている。

そこで、オープンなビジネス環境と迅速な技術導入を試みている台湾にて、メドテックに特化したアクセラレーターとベンチャーキャピタルを運営するBE Healthからの招待を受け、「台湾医療科技展」へ参加した。


台湾医療科技展とは

2023年12月に、台北の南港展覧館で4日間にわたり開催された台湾医療科技展。第7回となる今回は約650社と約110の病院が参加し、約2300のブースが設けられ、来場者は合計20万人以上に及んだ。「スマートヘルスケア」、「精密医療」、「全年齢対象のヘルスケア」といった分野の専門家が集結しており、イベントでは、分野を超えた連携を推進し、イノベーションによる医療システムの新たな可能性を探索することができる。

例えば、秀傳医療グループは4日間にわたり「2023 Medtech Starthub」という医療機器スタートアップのマッチングイベントを開催した。米国在台湾協会事務官のJeffrey Dutton氏、秀傳医療グループ院長の黃士維氏、台北醫學大學の教授である李友專氏などが参加し、さらなる成長を望む台湾のスタートアップがアメリカ、アジア、そして日本市場に展開するためのビジネスモデルや課題について、意見を共有した。黃士維氏は「台湾がスタートアップの成長を重視している一方で、これらの企業が国際市場で成功するためには戦略が欠かせない」と指摘し、目標とする市場や国家の選定の重要性や今後の発展に向けたアドバイスを行なった。

さらに、秀傳医療グループは、BE Healthと協力し、日本から、福岡市役所グローバルスタートアップ担当の橋本大介氏、プレモパートナー株式会社 代表取締役の桜井公美氏、ワークキャピタル株式会社 代表取締役の菊岡翔太氏、および筆者を招いて「日本市場の参入について」をテーマに各視点からの情報共有を行なった。

左から、ワークキャピタル代表取締役の菊岡翔太氏、筆者、秀傳医療グループ劉立氏、BE HealthマネージングパートナーArthur Chen氏、福岡市役所橋本大介氏、プレモパートナー代表取締役桜井公美氏

左から、ワークキャピタル代表取締役の菊岡翔太氏、筆者、秀傳医療グループ院長 李佩淵氏、BE HealthマネージングパートナーArthur Chen氏、福岡市役所橋本大介氏、プレモパートナー代表取締役桜井公美氏


BE Healthは病院から出資を受け、医療技術への投資を専門とするホスピタルVCであり、台湾最大のヘルスケアアクセラレーターの運営も行なっている。2018年の創立以来、台湾の医療エコシステムを牽引し、将来有望な100を超えるスタートアップを支援してきた。
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文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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