暗号資産

2024.01.23

独自の動きを見せる韓国のweb3マーケット

米に続く暗号資産の投資家が多い韓国で新たな動きが。/photo by NurPhoto (gettyimages)

日本において、web3という言葉が一般的になり、政府の基本方針に盛り込まれてから、1年以上が経過した。今やweb3関連のマーケットは、日本や欧米諸国を含む先進国のみならず、南米やアフリカでの展開も珍しくなく、全世界の国々を巻き込んだ一大マーケットに拡大している。

その中でも、日本と近くに位置しながら、日本とは違った目線で業界からの注目を受けているエリアがある。

韓国だ。

韓国では、クリプト業界の中でも、最も多くの人が集まる祭典のひとつである、Web3国際カンファレンス「Korea Blockchain Week」が毎年9月に開催されており、アメリカ、シンガポールと並んで、web3マーケットの中心地である。

韓国は米国に次いで暗号資産に対する投資家の取引が活発であり、韓国NO.1の暗号資産取引所である〈Upbit〉が、Binanceに次ぐ世界2位の取引数量を記録している。

しかしながら、2022年に米ドルに価値を連動させるステーブルコインの一種である「UST」および、彼らが発行していた暗号資産の「Luna」が大暴落し、この一大事件を切っ掛けに暗号資産市場全体が冬の時代に突入した。

この事件から1年以上が経過し、暗号資産相場の復調も見られる中、今の韓国の状況はどうなっているのだろうか。

韓国のweb3環境の動向

韓国のweb3マーケットに詳しい、HyperithmのCEOであるLloyd Lee氏とCSOである阿部喜一氏に話を伺った。

Hyperithmは2018年から暗号資産専門のヘッジファンドとして、日本と韓国で展開しており、昨年からは、ベンチャーキャピタル分野にも進出しており、業界でもユニークな地位を築いている存在だ。

HyperithmのCSOである阿部喜一氏、筆者、CEOであるLloyd Lee氏(左から)

HyperithmのCSOである阿部喜一氏、筆者、CEOであるLloyd Lee氏(左から)

── 阿部喜一、Lloyd Lee による韓国web3事情について ────

韓国では、日本と同様にNFTやゲームなどのIP分野において、ユースケースが出てきています。K-POPや韓国ドラマをベースとしたブロックチェーン基盤のサービスが増えてきていますし、ゲームやネット系の企業が主体となって、自社の独自チェーンやトークンを発行している企業も多いです。

NCSOFT、NEXON、Netmarbleのいわゆる3・NもWeb3ゲームやサービスをローンチしていますし、WemadeやNeowizも積極的にweb3に進出しています。日本だと、近年SEGAやスクウェア・エニックスが積極的にサービスを展開していますね。

また、Samsung、SK、LG等のいわゆる財閥系の企業も、web3系のビッグプロジェクトとのパートナーシップや出資を行い、独自のウォレットの開発やSTO (Security Token Offering) プラットフォームの開発等をしています。日本だと、NTTデジタルがWeb3ウォレットのリリースを発表しましたが、そのような事例が数多くあり、新規のビジネスに対して、社会全体が積極的にトライしているイメージです。
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