暗号資産

2024.01.23 08:30

独自の動きを見せる韓国のweb3マーケット

米に続く暗号資産の投資家が多い韓国で新たな動きが。/photo by NurPhoto (gettyimages)

また、韓国では原則的に、すべての男性は兵役の義務を負っていますが、例外的に兵役特例制度が存在します。一定の基準を満たした対象者が、特定のスタートアップ企業で働くことで、兵役の代わりとすることが可能です。
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一方で、この基準を満たすことは簡単ではなく、韓国国内トップレベルの技能を持っているという実績が必要です。当社でも該当する者は、韓国のトップ大学であるソウル大学を非常に優秀な成績で卒業し、物理オリンピックや数学オリンピックのメダリストレベルの者ばかりです。

このように新しいビジネスに対して、積極的な姿勢が韓国で見られている理由の一つは、明確に韓国経済が「停滞」していて、国外にビジネスチャンスを求めているから、だと考えています。

2023年から韓国経済は不動産バブル崩壊に起因する、経済の悪化に直面しています。出生率が0.70で過去最低を更新し、韓国内の企業家の多くは、国外へのビジネス展開が不可欠だと考えています。
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そういった状況の中、多くのWeb3系スタートアップはシンガポールやBVI、アブダビなどで会社を設立することに高い関心をもっています。

●韓国の暗号資産投資家の動向

韓国は米国に次いで暗号資産に対する個人投資家の取引が活発であり、韓国で圧倒的シェアを誇る暗号通貨取引所のUpbitに上場すると、トークンの価格が跳ね上がることから、Upbit特需という言葉あるほど、韓国市場への進出はweb3プロジェクトにとって、必要不可欠になってきています。つい先日、日本のweb3プロジェクトのAstarがUpbitに上場決定を発表した際に、一時+300%の価格上昇を記録したのも、記憶に新しいですね。

これは、韓国の個人投資家に対して、仮想通貨課税の施行が2025年まで開始が延期されたことも大きく影響しています。個人投資家としては、2025年までは、課税されないので、今のうちに取引しておこうという考えだと思われます。

暗号資産の相場に目を向けますと、韓国市場は、日本と違い、ビットコイン取引量が全体の5%から10%程度しか占めておらず、9割以上がアルトコインの取引です。日本国内の取引は約78%がビットコインで、グローバル市場でも約40%であることを考えると、いかにアルトコインの取引が活発であるか分かりますね。

また、韓国には、いわゆる「キムチプレミアム」と言われる、暗号資産の価格が全体的に韓国国内の方が、グローバルな価格よりも高くなる現象があります。このキムチプレミアムは、しばらくは見られない状況が続いていましたが、最近復活してきています。

●今後の韓国のweb3環境の方向性

韓国全体としては、新しいビジネスに対して、非常に前向きである一方、当初はweb3フレンドリーとみられていた政府が、資本流出やマネーロンダリングへの懸念が生まれ、規制が厳しくなりつつあります。2022年のTerra及びFTXの破綻、2023年は韓国の暗号通貨レンディングサービスのDelioとHaruのサービスが破綻を発表し、web3関連のビジネスでトラブルが頻出したことから、政府は規制を強化する方針のようです。

こういったトラブルが起きないように、一定の規制はしょうがないと考えておりますが、既存のweb3サービスの多くが存続が出来なくなるような厳しい規制を課すという噂も出ています。

こういったご時世だからこそ、コンプライアンスを遵守しつつ、グローバルにビジネスを展開していくことが求められると考えています。

Hyperithmの2024年の方針としても、好調な運用部門をしっかりとキープしつつ、ベンチャーキャピタル事業を拡大するために、資金調達を拡大していく予定です。

終わりに

日本と同じように経済の停滞や出生率低下という課題を抱えながらも、その解決の一手段としてweb3という新しいマーケットでグローバルな存在感を示そうとする韓国の積極性が伝わったのではないだろうか。

web3マーケットはまだまだ発展途上であり、それゆえに”自分(たち)はどう付き合うのか”が問われ続けている。そんな中、日本ともグローバル・スタンダードとも違う、独自の動きをしている韓国の動向はこれからも注視していくと面白いだろう。 



免責事項: この記事の内容は、説明のみを目的としており、表明された意見は個人のものであり、財務上のアドバイス、投資の推奨などを行うものではありません。暗号通貨市場の不安定な性質には固有のリスクが伴うため、十分な注意とデューデリジェンスを行った上で投資者自身の判断と責任において判断してください。

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