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2022.08.31 14:00

シリコンバレーにいるからこそ感じる、グローバルイノベーターへの3条件

photo by shutterstock.com

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1ドル約130円の昨今、円安がこのまま進むと海外の魅力的な製品・食料・サービス・人材・アーティストが日本になかなか入って来なくなるだろう。そもそも、日本はマーケットが小さい割に、参入障壁が高く、ローカリゼーション費用がかかる。日本の国際競争力が低下していることは、IMD「世界競争力年鑑」の日本の順位にも表れている。

1996年までは5位以内にランクインしていたが、2019年以降は30位代と低迷が続いている。採用される指標は、時代の変化と共に求められる能力も変わることから入れ替えが行われており、近年重きがおかれているひとつに「グローバル化」が挙げられる。

そこで、シリコンバレー在住20年で、現在は日系大手企業にてオープンイノベーション創出を行なっている町田晶弘氏、カネカの前田博巳氏(シリコンバレーオープンイノベーションセンターシニアディレクター)に「グローバルで活躍する人材(=グローバルイノベーター)になるために必要なポイント」について、尋ねた。

町田氏の写真
町田晶弘氏:シリコンバレー在住20年 日系大手企業勤務

前田氏の写真
前田博巳氏:Kaneka US Innovation Center シニアディレクター

イノベーティブである3つの資質


お二人によると、グローバルイノベーターに必要な要素として、1) 世界の技術・市場トレンドを理解し、2)グローバルコミュニケーション力、3) 未来をデザインする能力、が挙げられるという。以下、各項目を詳しく見ていく。

1)世界の技術・市場トレンドの理解をしよう


自分の興味分野において、日本より、例えば、米国が進んでいるとしたら、それを知りたくなるだろう。その好奇心に忠実に、世界で起きているリアルな事を、自ら探しに行って、自分なりの発見をし、意見・見解(WHY)を持つことが重要だ。

最近は世界の最新トレンドも割合早く日本のメディアを通じて紹介されるが、真のイノベーションを目指すのであれば、日本で紹介されてしまっては時すでに遅し。何故なら、その情報を見た企業が後追いで同じ様なアイデアを考える可能性が高く、レッドオーシャン市場になっているケースが少なくないからだ。日本に紹介される前に海外で起こっている兆し・インサイトに気付き、時代を先読みした世界初のソリューションを創出する。そうすることが、グローバル市場で生き抜く為のカギになるのではないだろうか。

実際に、シリコンバレーに住んでいるからこそ、危機感を肌で感じたり、日本人の持つポテンシャルが発揮されていないと悔しく感じたりする日系企業駐在員も少なくないと聞く。また、日本に戻ってきた時もギャップに驚かされる。Uberでなくタクシーが走り、未だに現金が流通しており、市役所は多数の書類と印鑑に埋もれている。銀行は3時で閉まり、サービスセンターに電話すると本物の人が出てくる。円安で何でも安く見え、特にガソリンはカリフォルニアよりも安い。海外でどんな新しい変革が急速に起こっているかを把握していなければ、どんどん世界から感覚的に置いてきぼりにされてしまう。

これは、考え方の面でも同じだ。世界には未来志向で、誰もやっていない事に不安よりも関心を向ける人や、規制などの障害があった場合に「だからダメ」でなく「それを変える」という発想をする人も多い。また、一見すると現実的でないアイデアでも、What If的な発想で、「このようにしたら可能になるのではないか?」と現状を変える新しいアイデアをも考え、優秀な人材を集めて、最短で、最高の効率で、最高のアウトカムを出す事に専念する。
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文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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