クリプト・バレーの中核を担うツーク州は、CoinDeskのクリプト、ブロックチェーン、web3に関連する人々が住み、働くことに適した地域を示すランキング「Crypto Hubs 2023」で堂々の第一位を獲得。また、CV VCによる「Top 50 Report 2022」でも、クリプト・バレーは世界で最も成熟したブロックチェーン・エコシステムとして評価されている。その中で、トップ50の事業体の評価額は約1850億ドルとされ、クリプト・バレーの企業の市場評価額は変動が続く市場のトレンドを覆して約55%の成長を示すとされている。
そこで、なぜスイスがこれほどまでにクリプト・スタートアップにとっての中心地となり得たのかについて、Greater Zurich AreaのHead of Marketing and CommunicationであるSabine Müller氏と、 CV LabsのEcosystem ManagerであるFabiola Luna Huerta氏に話を伺った。
クリプト・バレーの誕生
そもそも、どのような流れでクリプト・バレーが作られたのだろうか。Luna Huerta氏がこれまでの流れを教えてくれた。「2013年にビットコイン・スイスは、ツーク州のビジネス・フレンドリーな環境に魅了され、事業を開始しました。そして、XAPOやイーサリアムなど、他の企業や個人も加わりました。16年にツーク州が支払い方法としてビットコインを受け入れたことが、業界におけるビットコインの輝かしい地位がさらに強固なものになりました。クリプトバレーの初期のイニシエーターのひとつであるCV VCとCV Labsは、イノベーション創出のためにベンチャーキャピタルや共同スペースの提供を始め、その結果、多くのグローバルおよびスイスのブロックチェーン事業体が、クリプトバレーのエコシステムの中心地であるツーク州に集積しました。
これらの過程には多くの個人、政府機関、企業による努力があり、このように繁栄するweb3・エコシステムを発展させる多くの既存の、そして未知のヒーローがいるのです。現在、クリプトバレーには、新たに加わった〈21.co〉と〈Safe〉を含め9社のユニコーンがあり、そのうち7社がブロックチェーンプラットフォームです。また、クリプトバレーのトップ50は、プラットフォームとカンパニーが、26:24とバランスが取れたエコシステムを構築しています」