暗号資産

2023.07.26 07:30

スイス「クリプト・バレー」の暗号資産エコシステムに世界の熱視線

Greater Zurich AreaのHead of Marketing and Communication Sabine Müller

Greater Zurich AreaのHead of Marketing and Communication Sabine Müller

暗号資産をめぐる世界の対応は、現在も日々移り変わっている。その中で、先進的なブロックチェーン・エコシステムとして注目を浴び、発展し続けている地域がある。スイスだ。グレーター・チューリッヒ・エリア、そして世界的に有名な、クリプト・バレーだ。

クリプト・バレーの中核を担うツーク州は、CoinDeskのクリプト、ブロックチェーン、web3に関連する人々が住み、働くことに適した地域を示すランキング「Crypto Hubs 2023」で堂々の第一位を獲得。また、CV VCによる「Top 50 Report 2022」でも、クリプト・バレーは世界で最も成熟したブロックチェーン・エコシステムとして評価されている。その中で、トップ50の事業体の評価額は約1850億ドルとされ、クリプト・バレーの企業の市場評価額は変動が続く市場のトレンドを覆して約55%の成長を示すとされている。

スイスらしい風光明媚なエリアにある「クリプト・バレー」

スイスらしい風光明媚なエリアにある「クリプト・バレー」photo by Timon Stalder, Unsplash


そこで、なぜスイスがこれほどまでにクリプト・スタートアップにとっての中心地となり得たのかについて、Greater Zurich AreaのHead of Marketing and CommunicationであるSabine Müller氏と、 CV LabsのEcosystem ManagerであるFabiola Luna Huerta氏に話を伺った。

クリプト・バレーの誕生

そもそも、どのような流れでクリプト・バレーが作られたのだろうか。Luna Huerta氏がこれまでの流れを教えてくれた。

「2013年にビットコイン・スイスは、ツーク州のビジネス・フレンドリーな環境に魅了され、事業を開始しました。そして、XAPOやイーサリアムなど、他の企業や個人も加わりました。16年にツーク州が支払い方法としてビットコインを受け入れたことが、業界におけるビットコインの輝かしい地位がさらに強固なものになりました。クリプトバレーの初期のイニシエーターのひとつであるCV VCとCV Labsは、イノベーション創出のためにベンチャーキャピタルや共同スペースの提供を始め、その結果、多くのグローバルおよびスイスのブロックチェーン事業体が、クリプトバレーのエコシステムの中心地であるツーク州に集積しました。

CV LabsのEcosystem Manager Fabiola Luna Huerta氏。CV Labsはクリプトバレーの中心的な存在となり、CV VCのエコシステムを牽引する。

CV Labs Ecosystem Manager Fabiola Luna Huerta氏。CV Labsはクリプトバレーの中心的な存在となり、CV VCのエコシステムを牽引する


これらの過程には多くの個人、政府機関、企業による努力があり、このように繁栄するweb3・エコシステムを発展させる多くの既存の、そして未知のヒーローがいるのです。現在、クリプトバレーには、新たに加わった〈21.co〉と〈Safe〉を含め9社のユニコーンがあり、そのうち7社がブロックチェーンプラットフォームです。また、クリプトバレーのトップ50は、プラットフォームとカンパニーが、26:24とバランスが取れたエコシステムを構築しています」
次ページ > スイスが「クリプト・スタートアップ」の基盤になる理由は。

文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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