スイスに参入する日本企業の拠点としてのクリプト・バレー
このように、クリプト・バレーは世界に先駆けて、法的基盤も含めて、クリプト、ブロックチェーン、Web3業界での活躍を試みるスタートアップ等に向けた支援体制が充実している。また、スイスという中立で世界的機関が多く拠点を置く国という点も、グローバル市場を視野に入れる際の後押しとなるだろう。では、実際に日本からスイス、クリプト・バレーに参入したい場合、どうすればよいのだろうか。2024年に外交関係樹立170周年を迎える両国だが、スイスにとって日本は、精度、信頼、信頼性、品質を重要視する点や法律や人権の尊重などの基本的価値観を共有しているアジアで最も重要なパートナー国の一つだという。
Müller氏は、デジタル資産は、両国間で共有される共通の価値観に基づいて関係を強化するための重要な分野として最前線に立っているとし、日本からスイスへの参入方法を次のように語った。
「スイスへ参入する際に意識すべき点としては、以下の5つが考えられます───。
● ブロックチェーン技術や暗号通貨サービスの分野で事業を展開している既存のスイス企業との協業により、現地の専門知識、ネットワーク、スイス市場へのアクセスを得ること。例えば、エコシステムの中心部であるCV Labs。そして、1000社以上を支援したGreater Zurich Area Ltd.は、スイスでのプレゼンス確立に成功しています。
● スイスのクリプト・カンファレンスやイベントへ参加すること。毎年開催されるthe annual CV Summit Zugなどで、業界のリーダー、投資家、潜在的なパートナーとネットワークを形成し、自分たちの革新性をオーディエンスに提示する機会を作ることができます。
● 地域のエコシステムを活用し、関係を構築し、存在感を確立することで信頼性を高めるためること。
● スイスのVCを利用すること。彼らは、日本のスタートアップ企業に財政的支援だけでなく、業界の貴重なコネクション、メンターシップ、戦略的指針を提供することができます。例えば、CV VCは、21カ国から58のブロックチェーンスタートアップに既に投資していて、専門性を示しています。
● 法的・コンプライアンス的な専門家と緊密に連携して、規制状況への準拠を確保し、潜在的な課題を回避すること。
クリプトバレーは、相互の価値観を共有し、ブロックチェーン技術の有用性に基づいた変革をもたらそうと決意する日本の方々を、熱意を持って歓迎します。」
クリプト、ブロックチェーン、Web3業界には新しい世界を構築し得る多くの可能性が秘められている。一方、その扱いや規制といった対応の違いなどにより、一時期の興奮が冷めてきている国・地域も見受けられる。
そのような中で、スイスは持続的にこれらの分野が成長・発展し続けていけるようにいち早く環境整備をした稀有な国である。だからこそ、世界中から新しいテクノロジーで変革を起こそうとする人々が集まる集積地として、今もなお注目を集め続けているのだ。このように国、地域全体で新しさを柔軟に受け入れ挑戦するスイスの人々と関わり合うことは、変化に対して慎重な姿勢を示す日本人にとって、ビジネスをスケールアップさせるための新たな気づきを得る素晴らしい機会となるに違いない。