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2024.02.20 09:30

エヌビディアの投資部門が支援する「次世代AI企業」20数社の中身

安井克至
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5年後、10年後の未来を見据える投資

一方、エヌビディアは現在、ハイテク業界のトップにいるかもしれないが、彼らの覇権がこの先も続くとは限らない。競合他社が彼らのチップに代わるプロダクトの開発を進める中、エヌビディアは、現在のように市場を支配できなくなった場合に備え、事業を多角化する手段としてスタートアップへの投資に注力している可能性もある。

 「次の数世代でエヌビディアを打ち負かすのは困難に思えるが、本当に優れた人たちが、彼らを駆逐しようとしていることは確かだ」と匿名を要求した創業者の1人は語った。シディークは、投資の観点から、彼らがずっと先を見据えていることを認めた。「私たちは、本当に大胆なビジョンを持っている創業者を探しています。5年後、10年後の未来を見ている人たちです」と彼は語った。

エヌビディア自身にも、まさにそれを実践してきた確かな歴史がある。30年前に設立された同社は当初、ビデオゲームのグラフィックスを向上させることを目指していたが、2010年代の後半になると、同社のGPUは暗号資産のマイニング(採掘)に利用されるようになった。また、最も最近では、AIのトレーニングの原動力となっている。

後にGoogle Brainの研究ラボを共同設立することになるアンドリュー・ングを含むスタンフォード大学の教授陣が、機械学習のトレーニングを高速化するGPUの魅力に気づいたのが2009年のことだった。エヌビディアの成功は、来るべきAI革命に飛び乗るために、ファンが適切な方向に舵を切ったおかげだとも言われている。

「エヌビディアには、自社のチップの需要を伸ばすために適切な分野を選ぶ、先見の明があったのです。彼らは今、数十億ドル規模の新たな市場を育てようとしているのです」とテライ社のバーリンCEOは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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