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2023.02.14 08:00

「AI開発のAWS」目指すスタートアップMindsDBが約22億円調達

安井克至

(C)MindsDB

ビル・ゲイツは最近、テクノロジーの歴史において、現在はパソコンが発明されたときと同じくらい重要な時期だと述べた。しかし、シリコンバレーの名門VCであるBenchmark(ベンチマーク)は「AIのゴールドラッシュ」について慎重な見方を示している。

同社のパートナーのチェタン・プッタグンタによると、同社にピッチをしにくるスタートアップの大半が機械学習に取り組んでいるものの、競合と差別化できているケースはごく稀だという。

その中でも数少ない例外の1つが、サンフランシスコのベイエリアに本拠を置く「MindsDB」だ。同社は、AIの専門知識を持たない開発者のAIアプリケーションの構築を支援しており、2月7日、ベンチマークが主導したシリーズAラウンドで1650万ドル(約22億円)を調達し、プッタグンタが取締役に就任したことを発表した。MindsDBの評価額は5600万ドル(約74億円)に達したという。

MindsDBの共同創業者でCEOのホルヘ・トーレスは、AIがビジネスを変革するときがついに到来したと考えている。「メールからCRMまで、アプリケーションはAI機能を中核に据えたものに生まれ変わるだろう」と彼は話す。

従来の企業は機械学習アプリケーションとデータベース上のビジネスデータを、データチームが長い時間をかけて接続していた。これに対し、MindsDBはAI機能をデータベースに直接組み込むことで、開発者が自分の手で作業を行えるようする。トーレスは、オーストラリア国立大学時代からの友人で、現在は同社のCOOを務めるアダム・キャリガンと、2017年に同社を立ち上げた。

2人は当初、MindsDBをオープンソースのプロジェクトとして構築し、2020年後半に有料サービスの提供を開始した。同社は、2021年にフォーブスの年次リスト「AI50(注目すべきAI企業トップ50)」に選出された。

MindsDBの有料サービスを利用している企業は20社ほどで、キャリガンによると、年商はまだ100万ドル(約1億3000万円)に達していないという。しかし、GPT-3のように誰でも簡単に試せるAIモデルが市場に溢れるようになった今、プッタグンタは、MindsDBがその追い風に乗る絶好の位置にいると考えている。
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編集=上田裕資

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