サイエンス

2024.02.17 13:00

ペットが「恋人獲得」や「ふたりの暮らし」にもたらす効果を研究結果から解説

日下部博一
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2. ペットはカップルの絆を深めてくれる

動物好きな一面を見せて、無事に恋人を獲得し、一緒に暮らすようになったとしよう。ならば、2人で一緒にペットを飼うと、さらに良い関係を築けるかもしれない。2016年に発表された研究では、カップルが共同でペットを飼うことで得られるさまざまなメリットが明らかになっている。

この研究では、恋人と共同でペットを飼っている人の方が、パートナーに対して、強い親しみや、家族のような感覚を抱き、関係の質も高いと回答していたことが明らかになった。また、自分たちの関係が良いと回答するカップルの率は、ペットを共同で飼っているカップルの方が、飼っていないカップルよりも多かった。

ペットを飼う喜びをパートナーと分かち合うことは、ともに絆を深め、幸せを見いだしていくための素晴らしい方法となり得る。ペットの世話という責任を共有すれば、連帯感が生まれ、チームワークが育まれる。

もちろん、ペットの世話は簡単なことではない。しかし、2人がチームとして課題に立ち向かえば、問題解決能力が向上したり、互いが満足できる妥協点を見つけやすくなったりするだろう。

パートナーと共同でペットの面倒をみれば、一緒に運動したり、充実した時間を過ごす機会も増える。ともにペットと遊び、ペットを可愛がれば、かけがいのない親密なひとときを得られる。また、ペットを定期的に運動させたり散歩に連れ出したりすることで、より健康的で活発な生活が共有できる。

3. ペットはカップル間に生じた緊張を和らげる

家族の仕組みや変遷をテーマにした学術誌『Family Process』に心理学者が投稿した記事では、カップルや家族が関係を育んでいく過程で、ペットがいかに多くの重要な役割を果たしているのか、また、家族内の力関係と対立に関して、ペットがどのように役立つかということが強調されている。

執筆した心理学者はこのなかで、自身の元同僚が実施した有益な社会実験を詳しく紹介している。猫を飼っているカップルの家にカメラを設置し、夕食の様子を一週間にわたって毎晩記録するという実験だ。

そのカップルは夕食時、しばしば会話が険悪になることがあった。しかし、ケンカに発展しそうになるたびに、キッチンのドアが突然開き、飼っている猫が女性の膝に飛び乗ってきた。女性が猫を撫で始めると、二人は気軽な感じで会話を再開し、猫が登場する前に漂っていた緊迫感は消えたという。

こうしたエピソードからわかるように、ペットを飼えば、おのずとストレスが緩和され、会話のきっかけも生まれる。家の中にペットがいると、カップルの意識は、生活や人間関係における好ましくない側面から他へと移る。そうして、小さな家族の一員であるペットに対する共通の愛情で、心が再びつながり合うのだ。

膝の上で喉をごろごろ鳴らす猫のあたたかさや、疲れを知らない子犬のエネルギーに触れれば、今という瞬間に感謝することや、大切な人と分かち合う暮らしの素晴らしさを思い出すことができる。

ということで、もしあなたが、ペットを飼ってもいいかもしれない、と思ったことがあるのなら、これを機に、あなたの心と家庭にモフモフした友人を迎え入れることを検討してみてほしい。

ペットたちは、あなたの人生を愛情で満たしてくれるだけでなく、誰かと愛情を育む旅においても、いっそう喜びにあふれ、心温まるものにしてくれることだろう。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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