経済

2024.02.23 09:30

拡がる「ライフスタンス」エコノミー モノの価値と消費をどう変えるか

PARaDE代表 中川 淳(撮影:山田大輔)

何を基準にモノを選ぶか

ここで昨今の「モノを買う・選ぶ」基準の変化を時間軸でみてみたい。
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1.1990年代以前:品質や機能、価格、商品そのものを重視→安心
2.1990〜2020年頃:モノからコトへのシフト、ライフスタイル重視→憧れ・共感
3.2020年以降:2の要素に加え、ビジョンや持続可能性、多様性も重視→信頼 



1990年以前は、お客さんがモノを買う・選ぶ場面で重要なのは、あくまで商品そのものだった。お客さんは商品の品質や機能、価格を考慮して何を買うべきかを決めていた。求められた価値は「安心」だ。ところが1990年代に入ると、商品そのものではなく、商品の背景にあるブランドの世界観を重視して判断をするという変化が起こった。単純に比較するとAの方が機能も多いし安いけど、なんとなくBの方がかっこいいよねといった具合で、「憧れ・共感」が重視された。
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そして2020年以降、もうひとつの大きな変化が起こった。それはビジョン、ミッション、パーパスを重視し、地球環境や生物多様性への配慮に対するお客さんの興味が高まってきたこと。モノを選ぶ際に、どのようなビジョンを掲げて、どのようなスタンスの企業なのかを気にするようになった。

Getty Images

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お客さんの興味をあおり、毎年必要以上に新商品を投入し購買を促していたこれまでのサイクルでは地球環境が持たないのではないか?モノを作るメーカー側も地球環境等に対する配慮を十分にすべきではないか、配慮されていないメーカーの商品は多少安くとも買うべきではない、と考える人が増えた。求められている価値は「信頼」である。

1990年代以降の変化は、ライフスタイルの重要性が増したと表現できる。それ以前はプロダクト10割だったものが、徐々にライフスタイルの比重が高まり、ついには逆転してしまった。それを捉えてモノからコトへと言われるようになった。割合としてはプロダクト4割、ライフスタイル6割といったイメージだろうか。
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文=中川淳 写真=山田大輔 構成=国府田淳

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