次に被験者は、人体のシルエットを見せられ、曲を聴いていた時に身体のどの部分で感情を動かされたかを、ツールを使って色で示した。そうして作られた肉体感覚マップ(BSM)は、楽曲の情緒的性質によってさまざまだったが、僅かな文化的例外を除き、被験者が世界のどこから来たかによらず一貫していた。
被験者は主に優しい曲と悲しい曲を胸部と頭部で感じたが、怖い曲では腹部に感覚が生起した。楽しい曲やダンス向きの曲は、身体全体、特に四肢に感覚を引き起こした。攻撃的な曲も身体全体にフィードバックを起こしたが、特に頭部が顕著だった(ヘヴィメタルのヘッドバンギングを想像されたい)。
トゥルク大学はこの研究のために、フィンランドのアールト大学および中国の電子科技大学の協力を得た。
感情の強さ、持続時間、表現は、文化や環境、さらには個人の神経基盤によって当然異なることを、研究者らは認めている。 また、チームは補足資料の中で、「西洋的」と「東アジア的」を文化とみなしているのは、発見的目的のためであることを強調し、「これらの用語が被験者の多様な音楽的背景を必ずしも捉えておらず、被験者のグループの中には、豊かで多様な音楽的接触が存在し、個人によっては複数の音楽文化に接していたり、さまざまなサブカルチャーに共感している可能性もある」ことを認めている。
それはともかく、好きな音楽が鎮痛剤として利用できる可能性を調べた最近の研究も示しているように、音楽が単なる聴覚体験をはるかに超えていることは間違いない。それでは失礼して、私はファレル・ウィリアムスの「ハッピー」を聴いたら、CGアニメ映画『ハッピーフィート』のようにダンスが上手くなれるかどうかを試してみることにする。
(forbes.com 原文)