楽器を演奏する高齢者は「脳が健康」 最新の研究で明らかに

長年にわたって楽器を演奏することは、高齢になってからの脳の健康を改善する可能性がある(写真:Shutterstock)

英エクセター大学の新しい研究によれば、楽器を演奏することと高齢時の脳の健康との間に関連があることがわかった。国際老年精神医学雑誌に掲載されたこの研究では、ピアノなどの楽器を演奏する人々は、高齢になっても記憶力が良く、複雑な課題を解決する能力が高いことを明らかにした。

この研究は、PROTECT Study(プロテクトスタディ)という大規模なプロジェクトの一部である。PROTECT Studyは過去10年間、40歳以上の成人を追跡し、年齢とともに私たちの脳がどのように変化するかを研究してきた。これまでに、英国の2万5000人以上が、健康とライフスタイルに関する年次調査に回答したり、脳を使ったゲーム活動に参加することで、PROTECT Studyに寄与している。

PROTECT Studyは、研究者がさまざまな情報を収集し、さまざまな要因が脳の健康にどのような影響を与えるかを調査するものだ。今回の新しい研究では、特に音楽家と脳の関連に注目した。

エクセター大学認知症研究のアン・コーベット教授は、「音楽が脳の健康に与える影響については、多くの研究が行われてきました」と、大学からの声明で述べている。 「私たちのPROTECT Studyでは、高齢者の大規模集団における認知機能と音楽の関係を探求する、ユニークな機会を得ることができました」。

コーベット教授と同僚たちは、PROTECT参加者のうちの1000人のアンケートとテスト結果を比較することで、長年にわたって楽器を演奏していた人々が、記憶力と実行機能において良い成績を残していることを発見した。また、合唱団で歌っている参加者も脳の健康が良好であることがわかったが、その効果は合唱団の社会的側面にも関連している可能性がある。
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翻訳=酒匂寛

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