パルスオキシメーターの精度は黒人やアジア系で低下、FDAが指摘

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米国食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は2月2日、黒人やアジア系などの患者の健康状態をパルスオキシメーターで測定する場合に、どのようにして精度を上げるべきかの協議を行った。

パルスオキシメーターは、指先に装着して動脈血の酸素飽和度を測定するデバイスで、主に肺や心臓の疾患を抱えた患者に使用されている。しかし、このデバイスは、有色人種の患者に使用した場合、白人に比べて測定の精度が低下することが米国肺協会のレポートで指摘された。

FDAは、新型コロナウイルス感染症の流行により、このデバイスの使用が急増したことを受けて、2021年に「パルスオキシメーターは有用ではあるが、限界がある」との警告を行っていた。同局のジェームス・リー部門長は、今回の協議でパルスオキシメーターの精度が、肌の色やマニキュア、周囲の照明などの影響を受けやすいと指摘した。

昨年11月には全米の20以上の州の検事総長がFDAに書簡を送り、このデバイスの使用方法や注意点に関するガイドラインの更新を促した。

これまでの研究で、肌の色が濃い人は、色白の人よりも、パルスオキシメーターで不正確な測定値が出やすいことが示されている。2020年にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に掲載された研究では、白人患者の測定値の誤りが3.6%であったのに対し、黒人患者の測定値の誤りは11.7%だった。

パルスオキシメーターは通常、患者の指先にクリップで固定した状態で光を照射し、皮膚や血液を透過した光をセンサーで測定することで、血液中の酸素飽和度を測定する。そのため、肌に含まれるメラニンの量が多い場合は、光が吸収されるので測定の精度が低下する。

2022年にJAMA Internal Medicine誌に掲載された研究でも、パルスオキシメーターは有色人種の患者を測定する場合に白人よりも血液中の酸素レベルを過大評価する傾向があるとされた。また、昨年のAmerican Journal of Epidemiology誌の研究では、コロナ禍の間に、不正確な測定値によって黒人患者の入院率が白人患者と比べて2.4%高くなり、再入院率も8.3%高くなったことが指摘された。

医療団体ECRIのスコット・ルーカス副会長は協議の席上、「我々はこの問題が、ヘルスケアの公平性に対する重大な脅威であることを念頭に置かなければならない」と語った。「医療従事者が使用するデバイスの精度が、患者の肌の色によって低下することがあってはならない」と彼は続けた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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