今回のFDAによる輸血依存型βサラセミアへの使用承認は、鎌状赤血球症の治療に対するCasgevyの使用が承認されたわずか1カ月後のことだ(この鎌状赤血球症への適用承認が1件目である)。
輸血依存性βサラセミアは、血液中のヘモグロビンの産生を阻害する重篤な遺伝子疾患であり、治療のために定期的な輸血が必要となる。
FDAによれば、Casgevyは革新的なCRISPR遺伝子編集技術を用いて患者の血液細胞を変更し、変更された細胞を骨髄に戻すことで、ヘモグロビンの生成が増加するように作用するという。
最も一般的な副作用は口内炎、白血球の減少による発熱、食欲減退であったとFDAは述べている。
バーテックスのCEOで社長のレシュマ・ケワラマニは声明の中で「お待ちいただいている患者のみなさんにCasgevyを提供できることを楽しみにしています」と語る。
バーテックスは、Casgevyの投与を行うために、米国全土に「独立運営される、認可された治療センター」のネットワークを確立するために経験豊富な病院と連携を進めている。現在、米国には9つの治療センターが稼働しているが、今後数週間でさらに多くのセンターが稼働する予定であるとバーテックスはプレスリリースで述べている。Casgevyの投与には幹細胞移植に関する経験が必要とされる。
CRISPRは、DNAに正確で精密な変更を加えることができるため、医療治療におけるエキサイティングな最前線と見なされている。2020年には、CRISPRツールの発見によりエマニュエル・シャルパンティエとジェニファー・ダウドナにノーベル賞が授与された。ノーベル賞のウェブサイトによれば、この技術は「分子生命科学を革命的に変え、植物育種に新たな可能性をもたらし、革新的ながん治療に寄与し、遺伝性疾患の治療の夢を実現するかもしれない」と説明されている。
CRISPR技術規制の進展にともない、昨年CRISPRセラピューティクスの株価は50%以上上昇した。
(forbes.com 原文)