海運サービスとデータプロバイダーのClarksons(クラークソンズ)によれば、紅海を通るコンテナ船のおよそ90%は、2023年12月中旬以降、この重要な貿易ルートからの迂回を余儀なくされているという。
「デンマークのAP Moller-Maersk(APモラー・マースク)や、ドイツのHapag-Lloyd(ハパックロイド)をはじめ、グローバルな海運各社が、このルートを避ける決断を下している」と、Nikkei Asiaは1月28日に報じた。
またしてもサプライチェーンに危機が発生する可能性が警告されているにもかかわらず、ある最新調査では、調査対象になった企業の大半が、その影響から身を守るための対策を講じていないことがわかった。
継続する脆弱性
これは、1万社を対象にDun & Bradstreet(ダン・アンド・ブラッドストリート)が実施した最新調査によるものだ。同調査では以下のことがわかった。
・調査対象企業のうち、「サプライチェーンを複数の供給元、複数の地域に分散させること」を最優先事項として検討しているのは3社に1社だけだった。
・切れ目のない供給を確保するために、サプライヤーとのコミュニケーション改善と強化を検討しているのは4社に1社だけだった。
紅海以外の脆弱点
グローバルサプライチェーンにおける脆弱なポイントは、紅海だけではない。パナマ運河
「パナマ運河は、国際貿易の最重要ルートとしての地位を失いつつあるかもしれない。その原因は、気候変動による悪影響だ」とワシントン・ポスト紙は1月25日の論説で述べている。「本来ならパナマの雨季であるはずの時期に生じた記録的な干ばつにより、ガトゥン湖(運河で船舶を通行させる上で必要な閘門に水を供給している淡水の人造湖)の水位が危険なほど低下し、1年前と比べてほぼ6フィート(約1.8m)低くなっている」
「これにより、世界の海運のおよそ5%を処理するこの水路の交通が停滞している。北東アジアの港から米国東部へ荷を運ぶコンテナ船の半数近くがここを通っている」と同紙は伝えている。