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2024.01.31 09:30

ハイテク大手は「世界的な選挙イヤー」のAI偽情報をどう監視する?

安井克至
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マイクロソフト

マイクロソフトは、選挙の公正性を保護するためのいくつかのサービスを提供すると述べている。その中には、候補者の肖像の保護やコンテンツの認証、不正から両者を保護するツール、選挙運動へのAI活用に関する支援と助言、政府が安全な選挙を実現することを支援するためのハブの構築などが含まれる。

同社はまた、検索エンジンのBing(ビング)が、有権者に信頼できる結果を提供するとしている。同社が最近リブランドしたAIチャットボットのCopilot(コパイロット)は、欧州で行われた選挙に関して誤った情報や、誤解を招く情報を提供した。

TikTok

中国のバイトダンス傘下のTikTokは、若い世代のニュースやエンターテインメントの情報源となり、議論の場としても成長しているにも関わらず、多くの政治家から敬遠されている。同社は、有料の政治広告を禁止し(政治家自身によるものは許可されている)、偽情報の拡散を防止するためにファクトチェック団体と協力していると述べている。

2024年は世界の半数以上が投票

2024年は、世界人口の半数以上が投票する、史上最大の選挙イヤーになることが予想されている。インドや米国、英国、ロシア、南アフリカ、メキシコ、インドネシア、パキスタンを含む50カ国以上が国政選挙を実施する予定で、バングラデシュや台湾を含む複数の民主主義国はすでに投票を終えている。今年の選挙結果は、民主主義の将来や人権、安全保障、気候変動対策など、幅広い分野に重大な影響を及ぼすことが想定されている。

AIは選挙を混乱させる可能性があるため、2024年における世界最大のリスクの1つと考えられている。プロンプトを入力するだけで音やテキストなどのコンテンツを生成できる生成AIは、選挙の安全性を確保する上で特に大きなリスクと考えられている。今年の米国の大統領選挙は、Dall-EやMidjourneyなどの画像生成ツールや、ChatGPTやBardなどのチャットボットが広く普及してから最初の大統領選となる。

ディープフェイクは以前から存在していたが、技術の進歩によって、より簡単に、説得力がある偽コンテンツを作れるようになった。実際、ヒラリー・クリントンがロン・デサンティスを支持したり、バイデン大統領が徴兵制を発表したり、トランプ前大統領が逮捕されて警察から逃げるといったディープフェイクがすでに登場している。生成AIは選挙運動にも使われており、共和党はバイデン大統領が勝利した場合の米国の様子を示した生成AIを用いた動画を公開した。
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2024年は世界的な「選挙イヤー」 各国で大型選挙が目白押し

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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