今年最初の大規模な選挙は今月7日、バングラデシュで実施される。最大野党のバングラデシュ民族主義党(BNP)が選挙のボイコットを表明したため、シェイク・ハシナ首相の5期目の続投はほぼ確実となっている。
自国の領土だと主張する中国からの脅威の高まりに直面している台湾も、今月13日に総統選挙を控えている。親米派の頼清徳副総統が世論調査でリードしている。
世界第4位の人口を誇るインドネシアでは来月、大統領選挙が実施される。現職のジョコ・ウィドド大統領には3期目の立候補資格がないため、新たな指導者が求められている。
世界第5位の人口を擁するパキスタンでも来月、総選挙が実施される。同国はイムラン・カーン元首相の失職と逮捕につながった憲法危機からの脱却を目指す。
アフリカ最大の経済大国の1つであり、新興5カ国(BRICS)の創設メンバーでもある南アフリカは、5月以降に選挙を実施する予定。シリル・ラマポーザ大統領率いる与党アフリカ民族会議(ANC)は、1994年のアパルトヘイト(人種隔離)政策撤廃以来続いている政権の維持を望んでいる。
世界最大の人口を擁するインドは、6月までに総選挙を実施する予定だ。ナレンドラ・モディ首相率いるヒンズー至上主義の与党インド人民党(BJP)は「インド国家発展包括連合(INDIA)」と称する野党連合に対抗し、3期目の政権確保を目指す。インドの登録有権者数は、昨年初頭時点で9億4500万人だった。モディ首相は、2024年には同国の有権者数が10億人を超えるとの見方を示してきた。
メキシコは6月に大統領選を控えている。クラウディア・シェインバウム前メキシコ市長と野党連合を率いるソチル・ガルベス上院議員の事実上の一騎打ちとなるが、現職のアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール大統領の側近であるシェインバウムが同国初の女性大統領に選出されることがほぼ確実とみらている。
米国は11月に大統領選挙と下院選挙を控えている。現職のジョー・バイデン大統領がドナルド・トランプ前大統領と直接対決することになれば、2020年の大統領選の再来となる可能性がある。
今年の主な選挙は国家レベルにとどまらない。右派政党の復活が懸念される中、欧州連合(EU)でも6月に欧州議会選挙が実施される。欧州では戦争中のウクライナに対する支援を続けることに反対を表明する右派政党もあり、選挙の結果はEUの対ウクライナ支援に大きな影響を与える可能性がある。
ロシアとイランも今年、それぞれ大統領選と議会選が予定されているが、権威主義的な政権が続いているため、自由で公正な選挙にはならないとみられている。だが、今回は両国を巻き込んだ地政学的混乱の中で行われる初めての選挙となるため、反対運動が起こる可能性もある。イランでは2022年、クルド系女性のマフサ・アミニ(22)が服装規定違反の疑いで道徳警察によって逮捕された後に死亡したことを受け、民衆の抗議が相次いだ。ロシアでも2022年にウクライナ侵攻を開始して以降、小規模な抗議運動だけでなく、クーデター未遂事件まで起きている。
(forbes.com 原文)