国の経済が低迷している時期、企業や個人は自分たちのやっていることが間違っていることを受け入れ、そうした間違いを正すことを余儀なくされる。だからこそ、停滞期やゼロ成長の時期は回復の前触れとなるのだ。停滞の原因となっていた誤りは対処される。それゆえに、政府が景気後退と「戦おう」とする試みは、不況を長引かせ、回復に水を差すだけになってしまう。できることなら間違いに早く気がついた方がいいのは明らかだ。
株式市場も同じだ。資本が好調な企業や優良企業を追い求め、平凡かそれ以下の企業から流れ出るため、低迷期は迫り来る強さの真に現実的な兆しだ。このような記事にはよくあるテーマだが、21世紀に入ったとき、ゼネラル・エレクトリック(GE)は世界で最も価値の大きな企業で、タイコは「次のGE」だった。エンロンは最も頭の切れる経営陣を擁し、ルーセントは通信の未来であり、AOLはインターネット界の巨人だった。
かつてを振り返り、FRBや連邦政府の当局者ら(現実的には両者に違いはない)が現状を支えようとしていたら、そしてもっと悪いことにその試みが成功していたら、米国の経済状況が今日どれほどひどいものになっていたか、そして株式指数がどれほど壊滅的なものになっていたか、想像してみてほしい。
ここまでの話を中国に当てはめるとすぐに納得できるだろう。ある保守系メディアの社説は最近、2021年1月以来42%下落している中国本土と、48%下落している香港の株価を支えようとする中国の習近平国家主席の計画を一蹴した。そうした社説を執筆した論説委員らが、米国の株を支えてきたのは「あぶく銭」で株価を押し上げてきたとされる太っ腹のFRBだと何年も主張してきたという事実がなければ、中国の計画の一蹴は妥当なものだっただろう。FRBが魔法のように強気な状況を作り出すことができるのなら、全権力を掌握している習近平ができないことがあるだろうか。