ビジネス

2024.01.29

転換期のリーバイ・ストラウス、さらなる成長に向け品揃えを拡大

Shutterstock

リーバイ・ストラウスの2023年は素晴らしい年だった。ジーンズの需要は根強く、売上総利益は改善したことが決算で示された。同社のジーンズは依然として世界をリードするブランドだと多くの人が信じている。

この確固たる地位を受け、当然「2024年はどうなるのか」という疑問が浮かぶ。

その答えは明白だ。リーバイ・ストラウスは転換期を迎えている。その理由となるいくつかの事実を下記に挙げる。

新しい経営陣: 現最高経営責任者(CEO)のチップ・バーグが今月末に退任する。それに伴い、2022年12月に米小売大手コールズの経営から突然退いてリーバイ・ストラウスに入ったミシェル・ガスがCEOに就任する。コールズ以前、ガスはプロクター・アンド・ギャンブルやスターバックスなどで要職を歴任した。ガスは1月29日にCEO兼社長に就任し、バーグは2024事業年度末まで上級顧問として社に残る。

新しい品揃え:ガスは「デニムの装い」を普及させ、会社のさらなる成長につなげようとしている。そのための戦略はトップからボトムまでデニムの服を提供するというものだ。

また、シャツ地用の上質なニット生地を使った品揃えの多様化も図っている。ガスは最高の織物を使ったボタンダウンのシャツに期待している。

加えて、女性向けのデニム服の拡大も目指している。多くの女性はデニムの着こなしを意識しておらず、この取り組みによって顧客が同社への関心を高める可能性がある。

新たな経済見通し: ガスがCEOに就任するいま、経済環境は変化しており、ソフトランディングする可能性が高い。これはベーシックなデニムの服にとって真にプラスに作用し、その重要性が増すはずだ。リーバイ・ストラウスはデニムの使用に関して世界的な影響力を持っており(高品質の生地の使用も同様だ)、同社の新製品の計画はこの分野を一変させる可能性がある。

新しい市場: 全米小売業協会(NRF)のカンファレンスで、ガスは同社が「新興」市場、主にアジアに注目していることを示唆した。そうした動きも成長機会に発展するはずだ。同社は2022年にタイに100店舗をオープンし、日本やマレーシア、シンガポール、インドネシアの店舗を刷新した。

リーバイ・ストラウスは現在、世界で約3000店舗を展開している。1000店舗は直営店、残りはフランチャイズ(FC)だ。同社の強みは米国にあるが、世界的にプレゼンスを高めようとしている。ガスは世界的プレゼンスの拡大にチャンスを見出しており、収益改善につながることを期待している。同社をウォッチしている米投資銀行TDコーウェンのアナリスト、オリバー・チェンはリーバイ・ストラウスが株式市場を上回っていると見ている。

デニム製品を製造するブランドは数多くあり、競争は激しい。だが、老舗のリーバイ・ストラウスが新しいラインナップを展開する戦略は同社の売上を押し上げ、グローバルな店舗拡大でこの分野におけるリーダーの地位を維持するだろう。リーバイスは世界的に知られており、ガスの業界に関する知識は、同社が新しいアイデアを取り込むのに役立つはずだ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事