古着の「高級化」がアパレル二次流通市場にもたらす悪影響

Photo by Lucas Schifres/Getty Images

衣料品リセールサイトを運営する米ThredUP(スレッドアップ)の最新の年次報告書によると、米国では2022年に390億ドル(約5兆8300億円)規模だったアパレル二次流通市場は、2027年には700億ドル(約10兆5000億円)規模にまで拡大すると予想されている。

この背景にあるのは、コーチやREI、パタゴニア、リーバイスといった大手ブランドが、中古品の販売を強化し始めたことだ。もちろん、サステナビリティへの配慮と価格面での魅力が、こうした成長の主な原動力となっていることは間違いない。

だが、リセール市場にブームをもたらしているもう一つの要因として、利益の追求があり、善意に基づく古着販売推進の動きを脅かしている。中古ブランド品の価格が大幅に上昇したことで、従来の主要な顧客であった若年層や、価格に敏感な消費者には容易に手が出せないものになりつつある。

ビジネスモデルの変化

ファストファッションの普及によって増加した廃棄衣料の問題に取り組むべきとの気運の高まりも、この市場の成長要因となってきた。その一方で、そうした成長は同時に、本来の目的の実現を危険にさらしているとも考えられる。そうした見方の根拠には、以下のようなものがある。

・売り手による買いだめ

リセール市場に大きなチャンスがあることにいち早く気づいた人たちが、リサイクルショップで中古の衣料品を大量に購入し、個人で売買ができるポッシュマークやメルカリなどのフリマアプリを通じて、つり上げた価格で販売するようになった。

こうした「起業家」たちが自らの戦略や利益をあげる方法をSNSに投稿したことなどにより、後に続く人が増加。市場全体における価格の上昇につながっている。

・中古市場も高級志向に

古着の転売で利益を上げるようになった個人やSNSのインフルエンサーたちの影響で、中古品に関心を持つ人が増加し、二次市場でも「多くの人が欲しがる、利益が望める貴重な品々」の価格が見直されるようになった。

従来の顧客である低所得層は、リサイクルショップが扱う商品の急激な値上がりを嘆いている。
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編集=木内涼子

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