『バルダーズ・ゲート3』開発元CEO、「ゲームの未来はサブスク」を全否定

ラリアンについて言えば、フィンケの主張が正しいことは明らかだ。これが独立系の開発会社でなく、マイクロソフト傘下の企業だったとすれば、巨額の予算がかかるターン制RPGを、発売初日に「Game Pass」で配信するために開発することが許されたとは思えない。ラリアンはそうではなく、このゲームを自分たちで作り、自分たちで販売した結果、GOTY賞を次々と獲得し、発売から5カ月後たった今も数十万人の同時接続プレイヤー数を維持している。

ラリアンの反サブスク方針は「ゲーム機戦争」でマイクロソフトに対する批判材料として使われているが、もちろんこの問題はマイクロソフトに限ったものではない。そもそもフィンケが今回取り上げたのは、ユービーアイソフト幹部のコメントだ。また、ソニーも独自のサブスクサービス「PlayStation Plus」を展開していることは、いうまでもない。ソニーの場合、マイクロソフトのように独占タイトルを発売初日にサブスクで配信するようなことはしていないが、従来の意味で「所有」できないゲームを提供していることには変わりない。

フィンケは同時に、マイクロソフトから「Game Pass」配信の引き換えとして得られる多額の報酬がないと開発できないようなゲームもあることを認めている。だが、ゲーム業界全体がこのモデルを追い求める危険性は明らかだ。そうなれば、『バルダーズ・ゲート3』のようなゲームが減り、業界全体の持続可能性も損なわれる。

ゲーム業界は、このモデルを積極的に追求している。マイクロソフトはこの方針を全面的に掲げており、ユービーアイソフトや米エレクトロニック・アーツ(EA)なども同様の路線を取っている。ソニーは、PS Plusではそこまで踏み込んではいないものの、売り切り型ゲームのリーチが限られていることを問題視し、現状の打開を目指している。『バルダーズ・ゲート3』のようなゲームは、今後さらに減っていくのだろう。だがそれでは、多様性と活況のある業界は生まれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事