国内

2024.01.21 13:30

次代を担う新星たち。今注目の日本発スタートアップ6社

経営者や政治家が駆け込む「伝え方教育」サービス


千葉佳織|カエカ

人前で話すのが苦手──。そんな悩みを抱えるビジネスパーソンを救うのが、15歳から日本語のスピーチ協議を始め、全国弁論大会での優勝経験、内閣総理大臣賞受賞の実績をもつスピーチライターの千葉佳織だ。
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千葉は2019年にカエカを創業し、伝え方のトレーニングサービス「kaeka」を展開する。学習の機会が少なく属人的になりがちな伝える力を、独自のノウハウにより14項目に分解し、体系化した。例えば「PLOT(筋の通る話をする力、話の筋を整える力)」や「CORE(核心を伝える力)」、「SPEED(声のスピードを効果的に使う力)」といった項目を習得することができる。まずは30分間の口頭テストを行い、AIで抑揚や間の取り方などを分析。カリキュラムを個別に作成し、専属のスピーチトレーナーが内容と話し方の両面から指導をする。

サービスは個人と法人、政治家向けに提供しており、近年のリスキリングブームも追い風に、累計利用者数は4000人を超える。史上最年少で市長に当選した兵庫県芦屋市の髙島崚輔市長など政治家や大企業役員、経営者、人事や営業職といったさまざまなビジネスパーソンから引き合いが相次ぐ。受講者は選挙の当選や昇進・昇格、営業成績向上など、キャリアアップや自己実現を果たしているという。千葉は「価値観が多様化している今の時代、伝える力を磨き、人の心を動かせるようになることが、人生の成功を左右する大きな要素になっている」と話す。

今後は利用者が自習できるプロダクトなどをつくり、AIとトレーナーの両方の質を上げ、学習の質や効果を高めていくという。千葉が目指すのは「誰もが言葉を磨く社会」の実現。「将来的には全世代に『伝え方教育』が実装される未来を目指したい」。
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ちば・かおり◎15歳から日本語スピーチ競技を始め、全国弁論大会で3度の優勝経験、内閣総理大臣賞受賞歴をもつ。慶應義塾大学卒業後、DeNAを経て、2019年カエカを設立。

1500万DL、日本発位置情報アプリが急浮上


原田豪介|LinQ

2022年12月のサービスローンチから3カ月で、アプリダウンロード数1000万を突破。この驚異的な数字を記録したのが、LinQが開発する位置情報共有型SNS「whoo your world」だ。友人や家族の現在位置や滞在時間を確認することができ、中高生を中心に利用が拡大している。

位置情報共有アプリは、もともとzenlyが代表格として人気を博していた。しかし22年9月、業績悪化を背景にサービス終了を発表。そうしたなか、LinQ代表の原田豪介のもとには中高生から「zenlyの代わりをつくってほしい」といった声が届いていたという。原田はこれまで10以上のSNSを開発してきた経験があり、zenlyが終了した当時は、Instagram向けの質問箱アプリなどを運営。アプリキャラクターのなかの人として、中高生から学校生活の相談や機能改善の依頼を受けたり流行のインプットをしたりしていた。「僕が日本の中高生を今いちばん理解している」。そう自負する原田の深いユーザー理解と中高生との信頼関係がユーザー急増を後押し、現在のダウンロード数は1500万にまで達した。

持続的な事業構築に向け、収益化にも動く。23年4月にMIXIから20億円の資金調達を実施し、10月には同社のスマホゲーム「モンスターストライク」とのコラボスタンプを販売し始めた。今後もキャラクターIP(知的財産)を活用した施策をうっていくという。ただ、黒字化は急がず、ユーザー体験の向上を優先する方針だ。「位置情報共有型SNSは競合が存在するが、友達が別々のアプリを使っている状況はユーザーにとってベストではない。僕らのサービスが全世界のティーンエイジャーに使われる世界をつくる」。

はらだ・ごうすけ◎2018年からジラフで匿名質問サービス「Peing-質問箱-」の事業責任者。19年にLinQを設立。「whoo your world」だけでなく、数多くの若者向けコミュニケーションアプリを開発。

text by Hiromi Kihara(Toregem Biopharma), Ryoya Sonoda(Free Standard), Aya Ajimi(Citadel AI,kaeka), Ryoya Sonoda(X Mile), Risako Mita(LinQ), photographs by Jan Buus, illustration by Sebastien Plassard

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