国内

2024.01.21 13:30

次代を担う新星たち。今注目の日本発スタートアップ6社

「新しい日本」を担い、けん引していくのは誰か──。Foebes JAPANは「日本の起業家ランキング」と別に、2024年以降の大きな成長が予測される日本発スタートアップを100社選出(設立 5 年以内、直近 2 年以内に資金調達実績のある企業が主な対象)。未来に突き進む「次なる主役」たちのなかから注目の6社を紹介しよう。 

世界初「歯生え薬」を2030年に実用化へ


喜早ほのか|トレジェムバイオファーマ

生まれつき一部の歯が生えない「先天性無歯症」の患者に向け、世界で初の「歯生え薬」開発に挑んでいるのが、京都大学発スタートアップのトレジェムバイオファーマだ。人の歯は、乳歯から永久歯へと生え変わるが、実は新たな歯になりうる「第三の芽」が存在する。ただ、通常は歯の成長を抑制するタンパク質「USAG-1」によって、その芽は退化し消失してしまう。

京大の元准教授だった現CTOの高橋克(医学研究所北野病院)はこの作用に目をつけ、USAG-1の働きをなくす抗体薬「抗USAG-1抗体(歯生え薬)」をつくり、2018年に歯の芽を成長させる実証実験に成功。その研究成果を社会実装するため、京大のベンチャー支援プログラムに応募し、現代表の喜早ほのかが事業化の責任者に就いた。

同社は30年の実用化を目指し、24年から健康な成人を対象に安全性を、25年からは「先天性無歯症」の2~6歳の子どもを対象に有効性と安全性を確認する治験を始める予定。ただ、クリアしなければならない課題がいくつかある。例えば、歯が生えたかどうかという評価は、画像診断による「歯の芽」の有無で決まる。しかし本件では評価基準がまだ定まっていない。個々の患者が芽をもっているかどうかを調べる診断法の確立もこれからだ。

治験に向けては多額の資金が必要になるため、23年7月には3億8000万円の資金調達をした。現役歯科医でもある喜早は、「お子さんが来院した際に、永久歯がないことがわかり、ショックを受ける親御さんを何度も見てきた。そういう方に少しでも早く届けたい」と意気込む。

きそ・ほのか◎2008年から京都大学大学院医学研究科で歯の再生治療研究に携わり、20年5月にトレジェムバイオファーマを共同創業。歯科医師として診療にも従事する。

SHOPLIST前社長が生む「EC内サーキュラーエコノミー」


張本貴雄|Free Standard

ファッションなどのブランドが自社のECサイトで二次流通の仕組みを構築できるサービス「Retai lor」を提供するのがFree Standardだ。代表の張本貴雄は、ファストファッションの通販事業を手がけるCROOZ SHOPLISTの前社長で、事業を年間売上高250億円規模へ成長させた人物だ。

同サービスは、ブランドが自社でやるには工数が多く採算が合わない商品の下取りや査定、真贋のチェック、メンテナンス、在庫管理、物流、販売サイトの構築などを一気通貫に提供する。特徴のひとつは「お試し購入」という消費者向けの機能を実装できることだ。購入検討者に10日間(3000円から)商品を体験してもらう仕組みで、返品された場合、商品は再度お試しを希望する消費者へ提供される。お試しで支払われた代金を差し引いた金額での再販も可能だ。また、商品を下取りに出した利用者には、ブランドECサイトで利用できるブランド独自のストアクレジットを発行する。基本的に使われなくなった商品は中古品サイトで販売されたり廃棄されたりするが、Retai lorでブランド独自の二次流通をつくることで、商品と顧客が循環し、それによる収益も得られるのだ。

「今まではひとりがいくら買ってくれるかという顧客LTV(顧客生涯価値)を重視していた。Retai lorを導入することで、自社EC内で同じ商品が売れ続けるため商品の生涯価値も上げられるようになり、サーキュラーエコノミー(循環経済)が実現できる」と張本は語る。現在Retailorを導入しているのは約40ブランド。鋳物ホーロー鍋ブランドのSTAUBやゴルフウェアブランドのPEARLY GATES、電機メーカーのパイオニアなどが名を連ねる。

はりもと・たかお◎ファストファッションの通販事業を手がけるCROOZ SHOPLISTの前社長。事業を年間売上高250億円規模へ成長させる。2020年に退任し、同年にFree Standardを設立。
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text by Hiromi Kihara(Toregem Biopharma), Ryoya Sonoda(Free Standard), Aya Ajimi(Citadel AI,kaeka), Ryoya Sonoda(X Mile), Risako Mita(LinQ), photographs by Jan Buus, illustration by Sebastien Plassard

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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