アジア

2023.12.30 08:00

中国EU首脳会談 4年前とは一転、欧州との亀裂が鮮明に

2022年4月1日にオンライン形式で開催された中国との首脳会談を終え、記者会見に応じる欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長(Getty Images)

今回の首脳会談でフォンデアライエン欧州委員長は、EUの対中貿易赤字が過去2年間で倍増し、4000億ドル(約56兆5400億円)に達していると強調。さらに、中国政府が外国企業の市場参入を制限しながら国内事業を優遇していることや、中国国内の過剰生産能力によって欧州企業が弱体化する例もあると指摘した。同委員長の姿勢は、ドナルド・トランプ前米大統領が中国製品に関税をかけた2018年以降の米政府とほぼ完全に一致していた。米国と同様、欧州は中国との貿易を縮小する必要があると述べたが、米政府が「切り離し」という言葉を使ったのに対し、同委員長は「リスク回避」という言葉を選んだ。
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会談では貿易にとどまらず、より慎重に扱うべき外交問題も議題に挙がった。EU側の両首脳は習首席に対し、ウクライナ紛争の早期解決に向け、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に影響力を行使するよう迫った。その上で「中国政府がこの紛争でロシアを軍事面で支援したり、ロシアの制裁逃れを手助けしたりすれば、EUと中国の関係は取り返しのつかない損害」を被る恐れがあると警告。また、新疆ウイグル自治区での人権侵害に触れ、台湾への武力行使をけん制した。一方の習首席が自国の「一帯一路」構想とEUが並行して進める「グローバル・ゲートウェー」計画との協調を提案した際も、EU側は冷静な態度を崩さなかった。なぜなら、EUの計画はまさに中国の一帯一路に代わるものとして実行に移されたからだ。

もし中国政府が欧州との友好関係を築くことで、米国の強硬な対中姿勢に水を差すことを期待していたとすれば、それは失敗に終わった。EUは米国と同じく貿易や投資を巡る中国への不満や非難を表明し、人権や台湾を巡る問題についてはさらに強い言葉を使うことで、中国の野心に疑念を抱いていることを示した。中国政府が常に望んでいる欧米の分断という印象は打ち出せず、逆に欧米の一致団結とまではいかないまでも、西側諸国が中国に対して抱く共通の敵意という構図が露わになった。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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