この日、トルコの首都アンカラで科学賞の授賞式に出席したエルドアン大統領は、イスラム組織ハマスが運営する保健省が、イスラエル軍に殺害されたガザ住民は2万人以上に上ると報告したことに触れ、ネタニヤフ首相は1940年代に数百万人ものユダヤ人を大量虐殺したヒトラーと同じだと演説していた。さらに、イスラエルは米国から支援を受けており、ネタニヤフ首相はヒトラーより金持ちだと批判した。イスラエルの長年の同盟国である米国は、同国に3億2000万ドル(約453億円)相当の武器を供給し、143億ドル(約2兆250億円)の支援策を承認する方向で動いている。
これに対し、ネタニヤフ首相はX(旧ツイッター)に、エルドアン大統領がクルド人(訳注:トルコの少数民族)に対するジェノサイドを行なっていると投稿した。英ロイター通信によると、トルコがクルド人武装組織と長年続けてきた紛争で死者は4万人以上に上り、その多くは民間人だという。同首相はまた、エルドアン大統領が「政権に反対する記者を投獄した世界記録」を保持していると非難しつつ、イスラエル軍は「世界で最も道徳的な軍隊」だと主張した。
国連は、イスラエルとハマスとの紛争によって避難を余儀なくされたガザ住民の数を約200万人と推計している。
エルドアン大統領のイスラエル批判にもかかわらず、両国は通商関係を維持している。他方で、ロイター通信によると、ハマスがイスラエルに対する攻撃を開始し、約1200人のイスラエル人が死亡した10月7日以降、両国間の貿易は減少しているという。
米AP通信によると、イスラエルは10月下旬、エルドアン大統領がガザ地区での攻撃を巡り、イスラエルを「戦犯」と見なす用意があると発言したことを受け、トルコから外交官を呼び戻すと発表。これに応酬するかたちでトルコも先月、駐イスラエル大使を召還した。
(forbes.com 原文)