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2023.11.29

ガザでは爆弾以上に「病気」が多くの人の命を奪う、WHOが警告

ガザ地区ラファの国連パレスチナ難民救済事業機関が運営する学校の風景(ANADOLU VIA Getty Images)

ガザ地区では、爆弾よりも病気が多くの命を奪うかもしれないと世界保健機構(WHO)は11月26日に警告し、イスラエル、ハマス間の停戦協定が5日目に入る中、パレスチナ自治区内の悲惨な人道状況を強調した。

ジュネーブで行われた国連のブリーフィングで、WHOの広報担当者マーガレット・ハリスは、もし医療システムが回復しなければ、ガザ地区では「最終的」にイスラエルの攻撃によるよりも病気で死亡する人の方が多くなるだろうと述べた。ロイターが報じている。

ガザのハマス運営の保健省によると、同地区で1万5000人以上がイスラエルの攻撃によって死亡し、その中には子どもが6150人、女性が4000人含まれていた。

爆破された建物のがれきの下に残されている人々がいる可能性が高いことから、実際の人数はそれよりも多くなることが懸念されている。

状況はガザ北部で特に深刻だとハリスは語る。そこはイスラエル軍の空爆の矛先が向けられている場所であり、現地の人たちは医薬品、ワクチン、安全な飲料水、食料などを入手することができない。

ガザからのビデオ通話で話した別の国連幹部は、ガザ地区内の病院は、怪我をしたり汚れた飲料水を飲んだことによる胃腸炎に苦しむ子どもたちで溢れていると語った。

25日、国連事務総長のアントニオ・グテーレスは、イスラエルとハマスの戦闘休止の延長は、前進ではあるものの、ガザの人々に適切な救援物資が届けられることを保証するには十分ではないと語った。「延長された時間があっても、人々の劇的な欠乏をすべて満たすことは不可能です」とグテーレスはいう。同氏はガザへ救援物資を送る別の経路を開くことを要請した。現在はすべての物資が現地とエジプトを結ぶ1本の経路を通っている。ガザ地区へのそれ以外の入り口はすべてイスラエルが支配している。

完全な停戦を求めて、国際的子ども支援団体であるセーブ・ザ・チルドレンのパレスチナ自治区ディレクター、ジェイソン・リーは次のように語った。「子どもから民間人、人道援助のスタッフまで、どれだけの命が失われたら、国際コミュニティが立ち上がり、民間人を紛争の手から守るために、法的、外交的、そして道徳的義務を果たすのでしょう?」

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、戦争が始まって以来、ガザ地区内で住む場所を失った人々の総数は180万人となる。これは、自治区の総人口の80%よりも多い。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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