エンジンを2基搭載した超音速戦闘爆撃機であるSu-34は、ロシア軍の装備としては最も新しい部類に入る。3年目に入ろうとするウクライナでの戦争では、ますます危険にさらされるようになっている。ロシア空軍はこれまでに、保有していた150機程度のSu-34のうち少なくとも25機を失っている。
ウクライナ側が今回、クリンキ近辺とみられる場所でSu-34の飛行中隊を撃墜するのに使ったミサイルが何だったのかは、明らかになっていない。ただ、ウクライナ空軍が今月中旬、3基目の米国製パトリオット地対空ミサイルシステムをドイツから受け取ったばかりだったのは注目に値する。
今年5月13日、ウクライナ北部のパトリオットは、ウクライナと国境を接するロシア西部ブリャンスク州でロシア軍の戦闘爆撃機やヘリコプターなど計5機を数分のうちに相次いで撃墜している。搭乗員計11人も死亡した。22日の待ち伏せ攻撃もパトリオットによるものだったことは十分あり得る。いずれにせよ、ロシア軍とっては5月の連続撃墜に迫る大きな損害になった。
ウクライナの戦争努力にとって最も望ましい結果は、ロシア空軍がクリンキを目標とした滑空爆弾攻撃の作戦規模を縮小せざるを得なくなることだ。ロシア軍の戦術の変更ひとつでも、橋頭堡に張りついているウクライナの海兵にとっては恩恵になり得る。
滑空爆弾は高高度から放つのが最も効果的だ。半面、高高度を飛行すると、ロシア軍の爆撃機はウクライナ軍の長射程の地対空ミサイル、つまりパトリオットやS-300にさらされる。
探知を避けるためにロシア軍機が低高度を飛行するようになれば、滑空爆弾の射程は短くなる。そのため、操縦士はクリンキにもっと近づいてから、上昇して滑空爆弾を投下せざるを得なくなるかもしれない。だが接近してきた爆撃機は、ウクライナ軍のより短い射程の防空システムにさらされることになる。
ロシア側は、対応したいのなら急いでやる必要があるだろう。ウクライナには間もなく、オランダからF-16戦闘機の第1陣18機が届くことになっており、クリンキ一帯のウクライナ側の防衛はさらに強固になると見込まれる。
(forbes.com 原文)