アート

2023.12.26

「女性による」女性の解放 フェミニズムアート展がロンドンで開催

(C)instagram @tate

フェミニズムアートの画期的な展覧会「The Women in Revolt! Art and Activism in the UK 1970-1990(抵抗する女性たち!1970~1990年の英国における芸術と行動主義)」が、ロンドンにある国立美術館テート・ブリテンで開催されている。会期は2024年4月7日まで。

英国内で活動する女性芸術家、合わせて100人以上の作品を紹介するこの展覧会は、「女性」に焦点を当てたものとしては過去に例のない規模となっている。

展示されているのは、社会、経済、そして政治が大きく変化した1970~90年の英国で制作された絵画やデッサン、写真、織物、版画、フィルム、彫刻、当時の記録資料など。ソニア・ボイスやルバイナ・ヒミッド、ヘレン・チャドウィック、マーガレット・ハリソンといった著名アーティストに加え、長年にわたり活動を続けているものの、それにふさわしい知名度を得ていないアーティストたちの作品が並べられている。

「Women in Revolt!」は、互いに深く結びついた女性たちのネットワークが急進的な思想と反抗的な手法を用い、英国文化に貴重な貢献をしてきたことを示す機会となっている。

テーマは「女性による」女性の解放

「ウィメンズ・リベレーション(女性解放)」運動が最初に社会に大きなインパクトを与えたのは、1970年。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催されたミス・ワールド世界大会で、司会を務めたコメディアンのボブ・ホープが「ウィメンズ・リベレーション・アートグループ」のメンバーから「小麦粉爆弾」を投げつけられ、粉まみれになった。そして、世界中の1億人以上が、テレビを通してその様子を目撃した。

このグループを共同で組織したアーティストのひとり、マーガレット・ハリソンはこのとき、きわどいプラスチック製の黒のブラジャーを着用。バストトップには、オレンジのファーで作った乳首をつけていた。

展覧会は、この出来事やフェミニストグループ「ブリクストン黒人女性グループ(Brixton Black Women’s Group)」の結成から時代を追って、数々の作品を紹介している。
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編集=木内涼子

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