また、リタ・マクガーンは、家事労働を思わせることから正当に評価されないことが多いかぎ針編みで制作した人形で、エリザベス・ラドクリフは織物や生地を使って、グラマラスなセルフポートレートを制作した。
1980年代に入ると、女性たちはメディアで大きく取り上げられるような手法を用いて、家父長制を批判した。1981年にはバークシャーにあるグリーナム・コモン空軍基地に米軍の核ミサイルが配備されることが決まり、反対する女性たちが抗議活動を開始した。
基地近くに設置された平和キャンプでは、20年近くにわたって活動が続けられた。展覧会では、マーガレット・ハリソンがこの活動をテーマに制作したインスタレーションが設置されている。
そのほか、サッチャー政権下で施行された「ホモセクシュアリティをあおる」ことを禁じた地方自治法第28条(通称「セクション28」)に対する抗議活動や、HIV/エイズのまん延に関連した運動などに使用された横断幕やポスターなども展示されている。
最近の過去をテーマにしているのは、サッチャー政権末期に制作された写真家フランキ・ラッフルズとロシーニ・ケンパドゥの作品。変化する経済情勢の中での女性の立場を映し出している──この展覧会の核をなしているのは、「女性たちが」主導してきた抗議活動だ。
キュレーターが訴えることとは
欧米諸国の女性たちは1970年代に比べて、大半の面においてより多くの権利を獲得している。そのことに異論を唱える人は、ほとんどいないだろう。だが、「ミス・ワールド大会」はいまも存在する。興味深いこの展覧会を見るときには、そのことをよく考えてみて欲しい。そして、キュレーターのリンジー・ヤングが発信するポジティブなメッセージを受け取り、会場を後にして欲しい──。「教訓としてくみ取ることができる最も重要なことは、一丸となったとき、女性たちにはどれだけのことが成し遂げられるかということです。協調することができるのは、女性の強みです。私たちは、その強みを活用すべきです」
(forbes.com 原文)