JLLは、政府の借地権販売に関する覚書のなかで、このところ価格が割安なのは、「市場の景況感が低下していることと、建設費ならびに資金調達コストの上昇を考慮した上で、開発業者が借地権入札について慎重姿勢を崩していないこと」を示唆している、と述べている。
香港最大手の不動産仲介業者、中原集団(センタライン・グループ)の創業者で会長の施永青(Shih Wing-Ching)は、香港のいくつかの不動産投資家が資金的にひっ迫していることを認めている。例えば、いまは亡き不動産王、鄧成波(Tang Shing-bor)の一家もそうだ(「Uncle Bor(波叔)」として知られた同氏は、コロナ禍の2021年5月にこの世を去った)。
とはいえ香港は、一般的に言えば、本土中国の市場を苦しめている過剰供給や、レバレッジ比率の高い債務超過に悩まされてはいない。「香港の不動産市場が抱える唯一の問題は、価格が高すぎることであり、その対処は比較的容易だ」と、施会長は付け加えた。
MSCIのチョウは、香港の大手開発業者トップ8が近年、土地の取得を抑制していることを指摘した。これらの開発業者による土地取得額は、2019年前期に138億ドル(約2兆円)とピークに達したが、2023年前期には8億400万ドル(約1170億円)まで減っている。
香港にとってもうひとつの救いは、本土中国の開発業者があまり浸透していないことだ。施会長はこう述べている。「本土の開発業者が、香港で開発プロジェクトを手がける場合は、現地代理店を通す必要があり、その最大手のひとつが我々だ。本土デベロッパーの市場シェアはとても小さいため、香港におけるインパクトはそれほど大きくはない」
※円換算は現在のレート
(forbes.com 原文)