宇宙

2023.12.17

2023年クリスマスの夜、肉眼で見える「ベツレヘムの星」とは?

ベツレヘムの星の正体は何だったのか?(Shutterstock)

東方の三博士にキリストの誕生を知らせ、ベツレヘムに導いたという「ベツレヘムの星(クリスマスの星)」は、本当の天文現象だったのか?

この時期になると、必ず議論になる話題だが、実際の夜空には有力な候補が見つからないまま、ほとんどの年は過ぎていく。しかし2023年は、「クリスマスの星2023」の称号を得られそうな極めて有力な候補が2つある。1つは日の出前に、もう1つは日の入り前に現れる。まぎらわしいことに、どちらも狭義の「星」、つまり恒星ではなく惑星だ。

東の明るい星

今週、北半球で日没後に外へ出ると、東の空にとても明るい星が見える。木星だ。今は一晩中とても明るく輝いている。地球が木星と太陽の間に入る「衝」を11月3日に迎えたばかりだ。「この位置関係が木星を特別明るくしています。地球から見た木星の全面が太陽に照らされているからです」と、英国ウォーリック大学物理学科研究フェローのミンジェ・キム博士がメールで語ってくれた。「木星は午後9時ごろになると南の空高く昇り、午前3時30分頃西に沈むまで、すばらしい眺めを提供してくれるでしょう」

動かない惑星

木星の動きは興味深い解釈をもたらす。他の惑星と同じく、通常は星々に対して東から西へと動くが、しかし時として、逆方向に動くことがある。公転速度の速い地球が、木星を追い越すためだ。遅い車を追い越す時、相手の車が後退して見えるのと同じように、木星は逆行する。今がその時で、12月31日まで逆行は続くが、順行から逆行へと切り替わる時には止まって見える。2023年には9月にそれが起こったが、周期的であるため、年によって起きる月は異なる。

「地球との相対的な動きのため、見た目には動きが遅くなり、やがて『留』になって止まっているように見えます」とキムは言う。木星はその後、西から東への動きを再開するまで、逆方向に動くように見える。「キリスト生誕の時、『留』になった木星がベツレヘムの天頂で何夜か同じ位置に留まったとすれば、聖書の記述と一致します」
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翻訳=高橋信夫

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