宇宙

2023.12.07

ハレー彗星が長い旅路の折り返し地点に、次回は2061年に太陽系に帰還

1986年、オーストラリアのアウトバックから見たハレー彗星(Photo by Impressions Photography/Getty Images)

誰もがハレー彗星(正式名称1P/Halley)について聞いたことがあるだろう。今週、この太陽系で最も有名な雪の玉が、太陽から最も遠い位置に到達し、長い帰路の旅を始める。

彗星とはそういうものだ。太陽をX年ごと(ハレー彗星の場合は75~79年ごと)かけて周回し、太陽に近づいたときだけ地球の夜空に現れる。

ハレー彗星の帰還

ハレー彗星が最後に地球から見えた年、1986年のことを覚えている中年以上の人たちにとって、これはモーニングコールのようなものだ。ハレー彗星は、人間がその人生で2度見ることもできる唯一の彗星であるため、もしあなたが子どものときに、ハレー彗星について見たり読んだりした記憶があるなら、その帰還を考えると少々不安になるかもしれない。

ハレー彗星が遠日点(太陽を周回する軌道上で最も遠い点)に到達するのは、協定世界時12月9日午前2時(日本時間12月9日午前11時)だが、地球の夜空で再び見えるようになるまでにはまだまだ長い時間がかかる。今週、内太陽系へと戻る旅を始めるときに、ハレー彗星は地球と太陽の距離の約35倍の位置にある。海王星の軌道よりはるかに遠い。

クリスマスの彗星

ハレー彗星が次に地球から見えるのは、2061年7月下旬だ。1986年のときよりもはるかに地球へと接近すると予測されており、前回よりもずっと明るく見えるだろう。この時期、空に不思議な明るい光が見える可能性は、クリスマスに関連している。

ハレー彗星は、英国の天文学者エドモンド・ハレーにちなんで名づけられ、18世紀にハレーが初めてその軌道を計算し、帰還を予測した。ハレー彗星は人類の歴史の中で何度も観測されてきた。おそらく最も有名な出現は、東方の三博士をキリスト誕生の地へ導いた明るい星である「ベツレヘムの星」について記された聖書の物語にインスピレーションを与えたといわれるものだろう。

独自の解釈

「彗星は、狭義において星ではありませんが星に似た外観で空を横断して動くことから、賢者たちを導いたかもしれないという独特な解釈をもたらしています」と、ウォーリック大学物理学科の研究フェロー、ミンジェ・キム博士は語る。「ハレー彗星は紀元前12年に見ることができ、には見ることが可能であり、紀元前5年頃、中国と韓国の天文家たちが彗星あるいは新星と思われる天体を観測した記録は、紀元前6〜4年と推定されるキリスト降誕の時期と一致します」

もちろんクリスマスの星とも呼ばれる「ベツレヘムの星」は、明るい惑星か何か他の天体、新星だった可能性もある。2023年の12月に木星は東の空で明るく輝いているためその候補の筆頭といえる。しかし2061年になったら、話は変わるかもしれない。

また、2024年には3月と4月のポンス・ブルックス彗星、9月下旬と10月の紫金山・アトラス彗星という肉眼で見える2つの彗星が訪れる。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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