宇宙

2023.12.17 17:00

2023年クリスマスの夜、肉眼で見える「ベツレヘムの星」とは?

ベツレヘムの星の正体は何だったのか?(Shutterstock)

明けの明星

今月もう1つの候補となっている惑星が金星であり、木星よりさらに明るく輝いている。しかし、輝いて見えるのは夜明け前の時間帯なので、気づく人は少ない。クリスマスの朝、子供と一緒に早く起きた人なら、金星が東の空で明るく輝くところを見ることができるかもしれない。
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金星は最も明るい惑星であり、月と太陽を除いて、空で3番目に明るい天体だ。今は「明けの明星(Morning Star)」だが、2023年の大部分を明るい「宵の明星(Evening Star)」として過ごした。

ある説によると「ベツレヘムの星」は「会合」と呼ばれる珍しい天文現象であり、2つの惑星、この場合は木星と金星が、地球から見て互いにすぐ近くを通過して二重の惑星のように見えたのだという。最近「会合」が起きたのは2020年12月21日、クリスマスのわずか数日前のことで、その時は木星と土星が約800年ぶりの「大会合」(Great Conjunctions)になった。

興味深いことに、紀元前2年に1回、および紀元前7~6年に3回、木星と金星の会合が起きたという証拠がある。

ケプラーの学説

17世の天文学者で、惑星の運動を表したケプラーの法則で知られるヨハネス・ケプラーは、17世紀にこの現象を研究し、超新星の可能性があると主張した。大規模な爆発により数週間にわたって明るく見える超新星は、昼間にさえ見えることがあり、非常に明るく光るが非常に稀な現象だ。ケプラーは1604年に超新星を発見し、その残骸は現在でもへびつかい座の中のSN 1604として見ることができる。それは天の川銀河の中で発生した最後の超新星だった。しかし、ほかにも証拠はある。「古代中国の記録でも、キリスト降誕と一致する時期に新星あるいは超新星に言及したものがあります」とキムは語る。

ハレーの星

最後の、そして説得力のある説、それは「クリスマスの星」がハレー彗星だったかもしれない、というものだ。「彗星は、狭義において星ではありませんが、星に似た外観で空を横断して動くことから、賢者たちを導いたのではないかという独特な解釈ができます」と、キムは語る。この説は、ハレー彗星の75年周期(18世紀になるまで計算されていなかった)から、紀元前12年頃の夜空で見られたであろうということが明らかになったことで妥当性が高まった。「紀元前5年頃、中国と韓国の天文家たちが彗星あるいは新星と思われる天体を観測した記録は、紀元前6〜4年と推定されるキリスト降誕の時期と一致します」とキムは言う。
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ベツレヘムの星の謎は、今後も天文学者や歴史家たちを魅了し続けるだろう。2023年の木星と金星の出現状況は説得力のある説明をもたらすが、なによりも、人類の歴史と宇宙が永遠に絡み合っていることを改めて思い出させてくれる。

クリスマスの夜、晴れた空に星がよく見えることを祈ろう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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