正しい質問により、仮説の深掘りをコーチングする
ざっくりとでも仮説が上がってきたら、それを詳細化、具体化できるような質問をします。ここでSMARTというフレームワークが役に立ちます。SMARTはもともと具体的かつ数値的な目標設定をするためのフレームワークですが、顧客ニーズや提案の詳細化にも役に立ちます。SはSpecific(具体的に)、MはMeasurable(計量的に)。顧客が困っているという場合、具体的にいくらの経済的インパクトがあるのか定量的に考えることが重要です。困っていると言っても経済的インパクトが製品・サービスの価格より低ければ、自社の製品は売れないからです。
次にActionable(実行可能な)。今すぐ、どの製品を提案しに行けばよいかが分かるレベルで仮説を具体的にすることが大切です。Relevant(関係が深い)。顧客の課題の理解がどんなに優れていても、自社で扱っている製品に関係がなければ、意味がありません。
最後に、忘れられがちですが、Time bound(期限を決めて)。顧客の課題の認識が正しくても数年先のことであれば、今年の売上にはなりません。いつ、自社製品の販売につながるかも、営業には良く考えて頂く必要があります。
Mさん「顧客が製品別の生産コストを把握できず、正しい価格設定が出来ないということですが、具体的にそれでいくら損していると思います?どう計算しましょうか?」
このように、想像力をフルに働かせて顧客の状況を考え、具体的な仮説を作っていく。これが「顧客を知る」ことです。顧客を知るとは、相手のことをただ調べることではない。想像力を働かせ、仮説を立てることなのです。
ただし、実際に顧客を訪問し話を聞くときには、持っている仮説をいったん全て捨てて、相手の話を聞くことがとても重要です。自分の仮説の押しつけはいけません。話を聞いているうちに、自分の仮説が近いと思ったら、仮説が正しいか確認する「質問をする」。仮説を語っては絶対にいけないということは、営業パーソンには良く言い含めておきましょう。